2011 Fiscal Year Annual Research Report
日常生活において、人体でウイルスを増え易くする肉体的、並びに精神的負荷の探索
Project/Area Number |
22650158
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
荒尾 雄二郎 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (40151146)
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Keywords | 核酸 / ヒトヘルペスウイルス6型 / トルケテノウイルス / 感染症 / ストレス / 微生物 |
Research Abstract |
1.唾液中ウイルスを増加させる屋常的曝露因子の同定 355サンプルを調べた結果、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)とトルケテノウイルス(TTV)を増加させる日常的曝露因子を見出した。すなわち、病院実習、就職活動、演歌鑑賞、及び睡眠時間減少は、HHV6陽性率を有意に増加させた(p<0.05)。これらの曝露因子はTTV陽性率も同様に増加させる傾向があったが、その増加は有意には至らなかった。ただし、病院実習を部門別に解析すると一部の部門で有意な増加が認められた(pく0-05)。睡眠時間とウイルス陽性率の間でピアソンの相関係数を計算すると、睡眠時間はHHV6、及びTTV陽性率と逆相関した(それぞれ、r=-0.94、及び-0.71)。従って、睡眠時間の減少は唾液中のHHV6、及びTTVの増加要因であると推測される。一方、唾液中のウイルスDNA量は全体的に少なく、多くの陽性サンプルにおいて定量的遺伝子増幅法の信頼限界を下回ったため定量的比較は有意差を検出できなかった。 2.一般的体調評価指標の検討 唾液中のコルチゾールと分泌型IgAの濃度は、上記の日常的因子に曝露しても、有意に変化することはなかった。また、唾液中のα-アミラーゼ活性も有意な変化を示さなかった。従って、上記の曝露因子は、免疫力等の変化を調べる一般的な指標には影響を及ぼさないにもかかわらず、唾液中のウイルスを増大させるものと考えられる。 3.日常的因子への曝露によるウイルス増加のウイルス非特異性 HHV6陽性サンプルのTTV陽性率(69.4%)は、HHV6陰性サンプルのTTV陽性率(14.9%)と比較して極めて高かった(p<0.01)。従って、HHV6陽性とTTV陽性の間には高い一致性があり、上記の日常的曝露因子による唾液中ウイルスの増加は、ウイルス特異的なものではなく身体側の変化によるものと推測される。
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