2011 Fiscal Year Annual Research Report
旅行者血栓症リスク評価法と、血栓症予防機内食として「納豆」提供の効果に関する研究
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22650159
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
豊島 裕子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70328342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 直史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80138742)
遠藤 陽一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20158786)
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Keywords | 環境衛生学 / 血栓・止血学 |
Research Abstract |
納豆は、健康食品として注目されているが、食品であるために様々な成分が含まれていて、特にビタミンKを含むためにワーファリン治療中の患者が摂取できないことは周知である。納豆からビタミンKを除去し、精製した成分はNKCPとよばれ、線溶系賦活に伴う「血液さらさら効果」が有ることが知られている。 前年度は、血栓形成性の指標として高感度血小板凝集能測定法を用いた。旅行者血栓症などにおいて、引き金となる最初の微小血栓の形成は血小板機能の亢進でなることが指摘されているので、本法がNKCP機能評価に最適であると考えて研究を開始したが、予想に比して感度が高くならなかった。 そこで、当年度は、より鋭敏なNKCP効果評価法の検討を試み、MC研究所製の全血流動性測定装置MC-FANを用いて、肘静脈よりヘパリン加採血した静脈血100μlのシリコン製人工毛細血管内の通過時間と流速曲線から、流速曲線の変曲点と、血流閉塞度指数を算出してみた。本法は血液の粘度、血液凝固能の亢進、血球数増加、血小板機能亢進など複数の因子の影響を受ける検査法で、評価が困難ではないかと予想していたが、予想以上に鋭敏にNKCP効果を評価することが可能であった、 また、ストレス負荷として前年度は暗算負荷を用いたが、当年度は喫煙をストレスとして負荷し、喫煙による血栓形成性亢進に対するNKCPの効果を各種濃度で検討した. 健常成人(若年群12人25±1.5歳、中高年群12人44±4.3歳)を対象とした測定結果は、安静時の閉塞度は180±20、喫煙時には閉塞度は280±45と有意に増加し、喫煙時の血液にNKCPを0.05mg/ml濃度で添加すると、非喫煙時と同等まで低下したというものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に考えていた、高感度血小板凝集能測定法をNKCPの鋭敏な効果評価法として用いることが予想通りには運ばなかった。このため、より適切で鋭敏なNKCP効果評価法を2年目の研究で模索しなければならなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初考えていた手法は、理論的に最良の手法であったと考えられるので、予想通りに行かなかった原因を、プロトコルを組みなおすことで、最終年度内に検討したい。 また、最終年度では、in vivoの実験に着手し、NKCPの血小板血栓形成・血液凝固に及ぼす効果を検討したい。
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