2010 Fiscal Year Annual Research Report
味覚修飾タンパク質ミラクリンによる味覚受容体に対する影響の検討
Project/Area Number |
22650173
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
井上 裕康 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (40183743)
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Keywords | ミラクリン / YFP / 組換えタンパク質 / シグナルペプチド / トリプシン阻害活性 |
Research Abstract |
ミラクリンの味覚修飾活性は、およそ3分間ミラクリンをヒトの舌に塗布し、クエン酸やアスコルビン酸のような酸を飲んだとき、酸味が薄れ、強い甘味が感知される現象である。したがって、培養細胞系を用いて、上記に相当する現象を再現するためには、ヒト甘味受容体、酸味受容体をそれぞれ培養細胞に発現させ、それに組換えミラクリンを添加し、さらに3分後にクエン酸添加することで、受容体とミラクリンの相互作用、受容体活性化で引き起こされると想定されるセカンドメッセンジャーの変動を時間軸に沿ってリアルタイムで検証する。本年度は、大腸菌による味覚修飾活性を保持したミラクリン-YFP融合蛋白質の発現と精製に主に取り組んだ。その結果、ミラクリン抗体および、YFP抗体で検出される融合タンパク質(47kDa)を確認し、4.16mg/4L culture液の精製タンパク質に成功した。しかし、官能検査の結果、組換えミラクリンに相当する味覚修飾活性は得られず、精製方法の検討が必要であることがわかった。特にゲル濾過の結果から、融合タンパク質は4量体以上の多量体となっていることが判明した。 一方、シロイヌナズナで発現させたミラクリン-YFP融合タンパク質の検討から、ミラクリンは細胞外で分泌されること、細胞壁と細胞膜の間に局在すること、ミラクリンはKunitz型トリプシンインヒビターファミリーに属するが、その阻害活性を保持していないことが判明した(論文修正中)。 なお、ミラクリンの酸味受容体に対する作用機構を明らかにするため、酸味受容体を発現させ、酸に対する「オフレスポンス」応答を確認し、アッセイ系の準備は完了した。
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Research Products
(1 results)