2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの食物摂取欲求が脳に及ぼす影響の非侵襲的計測研究
Project/Area Number |
22650178
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
外池 光雄 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (90357567)
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Keywords | 食情報 / 食物摂取欲求 / 非侵襲的脳計測 / fMRI計測 / MSG |
Research Abstract |
本研究は、人の食物や食品の摂取欲求が脳に及ぼす影響を非侵襲的計測による客観計測と心理実験による主観計測(官能検査)とを組み合わせた実験と解析によって明らかにし、主観と客観の関係、食欲メカニズム・「おいしさ」の脳内情報処理の解明を目的とする。また、このような脳内の食物・食品摂取欲求の仕組みを応用して、現実的な課題である肥満解決への方策、過食症や拒食症の治療・予防への適用、健康な食生活・食育のための生活改善・QOLの向上等に活かす応用を目指す。 本年度は、具体的には、食物摂取によって脳内部位の活性化/不活性化を可視化できる機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)法を用いて、空腹状態/満腹状態の各条件下での食物摂取実験を、時間の経過とともに脳内の影響をevent related法によるfMRI撮影で観測すると同時に、我々が独自に開発したVAS(Visual Analog Scale)による官能検査心理実験も行った。このような人の食物摂取欲求に関する脳機能計測の研究は、世界でもまだ研究が成されていない挑戦的な研究分野であり、ヒトの食物摂取に関する脳機能解明に対する研究意義は極めて大きいものがある。 このため、23年度は、あらかじめ食物摂取条件を厳密に制御した4条件(空腹状態/満腹状態,食物有り/無し)によるfMRI撮影を、食物摂取後の時間経過とともにリアルタムに計測する実験を実施して、これらのデータの解析と分析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々のこれまでの実験研究において、被験者の協力の下に、世界でもまだ試みられていない食物摂取を厳密に制御した4条件(空腹状態/満腹状態、食摂取の有り/無し)を満たすようにfMRI実験を実施して来ており、実験はほぼ、当初の計画通り順調に進展している。また、fMRIによる脳応答のデータも得られており、現在、官能評価データとの比較・検討、及び解析を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に述べたように、食物摂取を厳密に制御した4条件による食物摂取欲求の脳計測は、他でもまだ試みられていない挑戦的な研究内容である。このため、食物・食品摂取後、リアルタイムに状態を追跡しながら、今後はfMRIによる脳応答計測結果とVASによる心理官能評価実験結果の検討を行って、ヒトの食物摂取における脳内機構の解明を行う予定である。また、本研究を基盤にして、これらに関連する脳科学研究分野への応用研究を模索・展開していく計画である。
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