Research Abstract |
平成22年度には,磁気式位置センサLibertyを用いて,手指動作を精密に測定する環境を構築していた.そこで,平成23年度には,この環境を駆使して,二胡演奏時の手指の動作を精密に測定し,そのデータを蓄積した.そして,手指動作を3次元CGアニメーションで表示するシステムを構築した. 具体的には,磁気式位置センサLibertyを用いて,そのレシーバを左手の人差し指,中指,薬指の各先端に装着する.さらに,もう一つのレシーバを二胡本体に装着する.こうすることにより,二胡に固定された座標系で,左手指の先の位置が計測できる.二胡の弦は二胡の座標系では一定の位置にあるため,結局,この手法を使うと,左手指の先端の位置が二胡の弦のどの場所を抑えているかが分かる. そして,二胡と手指の先端位置を3次元CGを使ってモデリングし,それを前期のシステムで計測したデータに基づいて3次元アニメーションで表示することにより,学習者は,自分の手指の動きを自由視点で観察することができる.このシステムは,ビデオ撮影したものを提示するのに比べて,あらゆる視点から観察できる点が有利となる.このため,二胡などの擦弦楽器の演奏で,音が正しい音高からずれることがあるが,そのときの手指の位置のずれを3次元的に認識することが可能となる.そして,それは,学習者が自分の誤りを内省し,手指の位置をどのように改善すればよいかを考える気付きを与えることにもつながる. なお,当初は,データグローブを利用しての学習支援環境の構築を予定していた.しかし,データグローブは手指の動きは計測可能だが,二胡に対する手指の位置を計測できないため,データグローブの利用はとりやめ,磁気式位置方向センサのみでシステムを構築した.
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