2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22650200
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平嶋 宗 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10238355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東本 崇仁 東京理科大学, 工学部, 助教 (10508435)
堀口 知也 神戸大学, 海事科学部, 教授 (00294257)
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Keywords | 概念変容 / 思考実験 / 誤り可視化 |
Research Abstract |
本研究実施者らは,学習者の導いた誤答を仮に正しいとした場合に,どのようなおかしな事象が導けてしまうかを推論する「誤りベースシミュレーション」に関する研究を,主に誤りへの気づきの促進を指向した誤りの可視化技術の一つとして進めてきた.近年,このシミュレーションを中学校理科の授業において実践的に用いる試みを行っているが'単に誤答が修正されるだけでなく,誤答の背景に存在する概念の修正自体を効果的に促進していることを窺わせる結果を得ている.誤りベースシミュレーションを概念変容に用いる反例の一種と捉えた上で,(1)この反例(本研究では思考実験型反例と呼ぶ)を用いた場合の概念変容のプロセスを解明し,(2)その有効利用法を明らかにすること,を本研究も目標とした.平成22年度においては,事例の収集とそれに基づくモデルの収集を行った.平成23年度においては,システム作りとそのシステムの実験的運用を行った.この実験においては,単にシミュレーションを観察するだけでなく,観察している被験者に対して,メタ認知を促すコメントを提宗することを試みている.このコメントは,被験者の思考を抽象化し,自身の認知過程を認知対象とするメタ認知の起動を目的としたものとなっている.この実験を統制群と実験群を用いることによって実施した結果,誤りの修正といった結果としては,有意な差は得られなかったものの,誤り修正プロセスにおける学習者の発言及びその後の振り返り時の誤り修正に対する説明において,メタ認知的と判定できるものの数が統制群よりも実験群のものが多いことが明らかとなった.これらのことから,本システムは学習者の誤り修正への有効性が示されたと判断できる.
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