2011 Fiscal Year Annual Research Report
教育工学研究の哲学的基礎付けに関するニュー・フロンティアの開拓
Project/Area Number |
22650201
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安武 公一 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 講師 (80263664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 修 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (90230325)
小川 賀代 日本女子大学, 理学部, 准教授 (20318794)
堀江 剛 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (50379898)
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Keywords | 教育工学 / メタ理論 / 学習科学 / 複雑系 / 科学 |
Research Abstract |
学習科学の研究対象(学習空間と学習者)には,強い歴史性(時間軸上でのダイナミクス)と個別性と対象間の相互作用性(相互依存性)が認められる.これらの属性によって学習という現象は文脈依存的であるとされ,それがecologicalあるいはsocio-culturalなアプローチを学習科学が採用する根拠のひとつとなっている.しかしこうした研究対象の特性は学習科学固有のものではない.たとえば数理生物学のある領域では,生態系や生命現象を「局所的な相互作用によって全体の状態・振舞いが決定され,それらの全体的な振舞いをもとに個々の構成要素のルール・機能・関係性が変化していく」というシステムすなわち複雑系(complex systems)であるとみなし,この系のもとでの多くの自由度が絡み合った多対多の関係性(個別性と相互依存性)とそのダイナミクス(歴史性),そして現象の「意味」までもが研究対象とされている.そこで使用される言語は数理的な論理すなわち数学である.学習系が生態系に類似した複雑系であるという認識に立ち,in vivoに対象に切り込むことを志向するのであれば,自然言語に依拠した従来のアプローチだけではなく,複雑系諸科学で採用されている数理的なアプローチもまた学習科学研究において戦略的に有効なのではないか,このような問題意識に基づき今年度は以下の各課題研究,シンポジウム等で研究発表を行ない,学習科学における厳密な意味での数理科学的アプローチ(ハード・サイエンス的アプローチ)の有効性を主張した. 1)JSET課題研究「複雑系としての学習系(Learning Systems)に対するデザイン研究(Design-Based)アプローチの課題」 2)複雑系学習科学研究プロジェクト「複雑系科学からみたデザイン実験アプローチの限界と課題」 3)情報処理学会CLE研究会シンポジウム「Positive Scienceとしての学習科学の可能性」
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Research Products
(6 results)