Research Abstract |
教師や複数の学習者間で相互に作用し合う思考活動のプロセスの表出,記録,そして再利用を目指し,思考プロセス活用支援システムの構築を試行した。システム構成としては,タブレットパソコン(以降TPC)を児童一人に1台(15台),そして教師用の1台の計16台(Windows7),サーバー1台(Windows Server2010),無線用アクセスポイント3台である。それぞれの機器は概ね良好に動作したが,比較,累加,分類,統合,判断,一般化などの思考活動を,TPCに描画させ,さらにそれを教室での学習活動に利用していくためには,児童用及び教師用TPCそれぞれに特定の機能が必要であることが明らかになった。例えば,教師が用意したワークシートに記述を求める際,レイヤ機能は,教師と児童の記述の区別はもちろんのこと,他の児童の記述との切り分けが容易であり,それぞれの思考活動を把握するために有効である。 授業の様子としては,記述直後に大型モニターに提示された自分のTPC画面に,あらためて記述を加えながら説明する活動がみられた。説明を聞いたり,複数の児童の書き込みが並べられて提示された画面を見たりすることで,自分のTPCに記述を加えながら,新たな思考が展開された。ただし,従来の教育メディアの活用に比較して,本研究によるシステムが思考活動の深化及び再利用に効果を上げるためには,教師の求める学習活動や記録・再利用に適合したソフトウェアの導入が課題である。 また,教科教育にみられる思考プロセスの調査・検討として,情報通信技術に対する理解状況に焦点を当て,概念地図法により中学生の思考を捉えた調査研究を実施した。この研究により,中学生の思考活動を反映させた技術科の学習指導方法改善の手がかりを得るに至った。
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