2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラントオパールとセルロースの同位体比情報から読む新しい古環境proxyの開発
Project/Area Number |
22650218
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高田 将志 奈良女子大学, 文学部, 教授 (60273827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 隆 奈良女子大学, 理学部, 教授 (30175492)
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Keywords | プラントオパール / セルロース / 同位体比 / 古環境proxy / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究では、将来的には古環境復元への応用までを視野に入れながら、プラントオパール(生物源シリカ)や植物起源セルロースの質量分析情報から、新たにどのような環境情報を読み取ることができるかについて明らかにすることを目標においている。初年度は、とくに標高にともなって気温が低下する山岳地、具体的には、北アルプスや山陰の大山周辺などで現生のササやタケを採取した。また奈良盆地近隣の近畿圏でも、標高別に、現生のササやタケを採取した。これらを試料にプラントオパールを抽出した。そして、抽出したプラントオパールの酸素同位体比組成を(一部は水素同位体比も)測定した。これと併せて、試料採取地点における気温・降水量情報をアメダス気象データなどから推定した。収集したデータをもとに、プラントオパールの同位体比情報と、気温など、その地点の現在の環境情報との関係性について予察的に検討した。 現時点ではデータ数が十分とは言えないが、今のところ、プラントオパールの酸素同位体比と気温との間の関係性に明瞭な傾向は認め難いように見える。サンプル採取地域の水の同位体比に関する検討や、分析精度の問題、地域的な限定、最終植物種の限定など、酸素同位体比組成に関わる関連項目をリストアップし、分析解析の視点を絞った検討が必要であることがわかった。これについては、次年度に検討を進める予定である。併せて、酸素以外の同位体比情報の検討も加味したいと考えている。
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