2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラントオパールとセルロースの同位体比情報から読む新しい古環境proxyの開発
Project/Area Number |
22650218
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高田 将志 奈良女子大学, 文学部, 教授 (60273827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 隆 奈良女子大学, 理学部, 教授 (30175492)
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Keywords | プラントオパール / セルロース / 同位体比 / 古環境proxy / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究では、将来的には古環境復元への応用までを視野に入れながら、プラントオパール(生物源シリカ)や植物起源セルロースの質量分析情報から、新たにどのような環境情報を読み取ることができるかについて明らかにすることを目標においている。本年度は、初年度に加え、より多くのプラントオパールの酸素同位体比組成を測定し、プラントオパールの同位体比情報と、気温など、その地点の現在の環境情報との関係性について検討した。その結果、いわゆる天水の酸素同位体比情報を基準にすると、プラントオパールの酸素同位体比情報は、植物体中の水の蒸発散に伴う同位体比分別に強く影響を受け、たとえば石英などの鉱物中の酸素同位体比に近い値を示すのではないか、ということがわかってきた。一方、プラントオパールの酸素同位体比情報と気温との間には、単純な相関関係だけで説明できない特徴が見えることがわかった。これらの成果の一部については、その内容を2011年7月にベルン(スイス)で開催されたINQUA(the International Union for Quaternary Research)XVIII Congressで発表した。本年度の研究成果から、今後、サンプル採取地域の水の同位体比に関する検討や、分析精度の問題、地域的な限定、最終植物種の限定など、酸素同位体比組成に関わる関連項目をリストアップし、分析解析の視点を絞った検討を行う必要があることが示唆された。これらについては、次年度に検討を進める予定である。併せて、セルロース試料や、酸素以外の同位体比情報の検討も加味したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プラントオパールの純化など、同位体比測定にかかわる試料処理手順の検討に、予想以上の課題がみつかったことで、少々、手間取る部分があった。また、同位体比情報に関係する環境要因指標が、当初の想定よりもかなり複雑な面があることがわかってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目標設定では、古環境解析までを視野に入れ、ローム層中のプラントオパールの同位体比測定なども行いたいと考えていたが、限られた研究期間を考慮すると、現生プラントオパールや現生に近いセルロースなどの同位体比情報と、環境要因の分析に傾注した方が、その後の発展的応用への寄与が大きいと考えている。
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Research Products
(4 results)