2010 Fiscal Year Annual Research Report
miRNAの迅速かつ安価なin vivo解析技術の開発と脳腫瘍への応用
Project/Area Number |
22650225
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
杉谷 善信 財団法人癌研究会, ゲノムセンター, 研究員 (80360569)
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Keywords | miRNA / 脳腫瘍 / 細胞分化 / 遺伝子発現制御 / 神経前駆細胞 / in vivoエレクトロポレーション / 多段階発癌 / 遺伝子導入技術 |
Research Abstract |
本研究の目的は、プラスミドベクターを用いてin vivoでmiRNA(および各種遺伝子)の恒久的な発現あるいは機能抑制を行なう技術を開発することであり、本開発により発癌におけるmiRNAの生体機能を安価にかつ迅速に解明することが可能になる。実際に本開発技術を脳腫瘍モデルマウスへ応用し、発癌過程におけるmiRNAの生体機能を解明することを本研究の最終目標として、本年度は、(1)miRNAに対するin vivo機能阻害RNA発現ベクターの開発、および(2)マウス脳内の腫瘍起始細胞(大脳皮質脳室帯および小脳顆粒前駆細胞層)へのin vivoエレクトロポレーション技術の開発を行った。 結果は(1)3種のmiRNAに対して各種機能阻害RNA発現ベクター(shRNA,TuD,miRNA sponge)を作製し、RFP連結レポーター遺伝子を用いてin vitroでmiRNAの機能阻害効果を解析したところ、shRNAあるいはTuDが顕著な機能阻害効果を示した。(2)電極器具等および手術手技の改良を重ねた結果、大脳皮質ではほぼ100%の個体で、小脳顆粒細胞についてはGFP遺伝子の導入処置をおこなった個体の約70%(35匹中24匹)がGFP陽性であった。同様にPatched1コンディショナルノックアウトマウスにCre組換え酵素発現ベクターを導入した結果、Cre組換え依存的に小脳顆粒前駆細胞層の過形成を誘導されたことから、マウス脳内の腫瘍起始細胞への効率的な遺伝子導入が認められた。今後はトランスポゾンを用いてin vivoでmiRNAの機能阻害ならびにPatched1遺伝子の不活化を行うことにより髄芽腫形成過程におけるmiRNAの生体機能解析を行う予定である。
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