2011 Fiscal Year Annual Research Report
miRNAの迅速かつ安価なin vivo解析技術の開発と脳腫瘍への応用
Project/Area Number |
22650225
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Research Institution | 公益財団法人がん研究会 |
Principal Investigator |
杉谷 善信 公益財団法人がん研究会, ゲノムセンター, 研究員 (80360569)
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Keywords | miRNA / 神経前駆細胞 / トランスポゾン / Patched / 細胞分化 / 髄芽腫 / in vivoエレクトロポレーション / ニューロン |
Research Abstract |
本研究の目的は、発癌過程におけるmiRNAを含む各種遺伝子の生体機能を、プラスミドベクターにより容易に解析できるシステムを開発することによって発癌分子機序の迅速な解明のための技術基盤を確立することである。 本年度は、神経前駆細胞及び前癌細胞においてGFPおよびmiRNAあるいはmiRNA inhibitorを安定かつ持続的に発現させるために、遺伝子導入細胞のゲノム内への挿入に働くトランスポゾン、および再現性の高い導入遺伝子の発現ために導入ゲノム領域の影響を抑えるインシュレーターを組み合わせたプラスミドベクターを構築した。これらをCre組換え酵素およびトランスポゼースの発現ベクターとともに、Cre組換え依存的にLacZまたは細胞膜移行型EGFPを発現するマウス脳にIn vivoエレクトロポレーションにより導入し、その導入効率及びmiRNAsの生体機能を解析した。 電極器具および手術手技等についても改良を重ねた結果、胎生期の小脳菱脳唇(rhombic lip)については69%(35匹中24匹)、生後一週の小脳外顆層では非常に高い効率で99%(94匹中93匹)の遺伝子導入が確認された。さらに上記の遺伝子導入技術を脳腫瘍モデルマウスであるPtch1コンディショナルノックアウトマウスに応用した。研究代表者が生化学的解析および発現解析によって探索同定した小脳髄芽腫形成に抑制性に働きうるmiRNAsの機能解析を行った結果、Ptch1遺伝子の単独欠損に比較して、miRNAsの同時機能阻害を行うことによって小脳顆粒前駆細胞の分化抑制と自己複製の顕著な亢進が認められた(2011年日本癌学会学術総会,投稿準備中)。 以上の結果はプラスミドベクターによる増殖・腫瘍細胞おけるin vivo遺伝子発現技術の開発ならびに髄芽腫形成に関与しうるmiRNAsの同定に成功したことを示す。
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Research Products
(1 results)