2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22650227
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80229286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 誠 京都大学, 医学研究科, 教授 (70281714)
斉藤 通紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (80373306)
平位 秀世 京都大学, 医学研究科, 助教 (50315933)
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Keywords | 癌転移 / 骨髄由来細胞 / 細胞系譜 |
Research Abstract |
癌の転移は患者の予後を大きく左右するため、転移メカニズムの解明とその制御は癌患者に大きな福音をもたらす。近年、骨髄球系の造血細胞が癌の進展に関与している可能性が明らかとなりつつある。研究分担者・武藤らは大腸癌のマウスモデルで浸潤や転移の局所にCD34とCD11bを発現する骨髄球系の細胞が集積していることを発見し、immature myeloid cell (iMC)と名づけた。本研究は、このような造血細胞の分化系譜を解明することを目的とした。マウスで大腸癌の肝転移モデルを作製し、肝転移巣から酵素処理によって造血細胞を分離した。分離した細胞を蛍光標識抗体で染色し、フローサイトメトリーを用いてCD34陽性CD11b陽性の集団を同定した。CD34陽性CD11b陽性の細胞集団はFSCおよびSSCのプロファイルからさらに二つの亜集団(A : SSC^<high>, B SSC^<low>)に分類できることが明らかとなった。これまでにiMCはマトリックスプロテアーゼであるMMP2およびMMP9を発現していることが免疫組織の結果から明らかとなっている。そこで細胞集団AおよびBを細胞ソーティングによって回収し、免疫染色したところ、AはMMP9のみをBはMMP2のみが陽性であった。研究分担者・斎藤らの開発した手法を用いて単一細胞からcDNAを増幅し、MMP2およびMMP9のmRNA発現量をリアルタイムPCRを用いて定量したところ免疫染色の結果と一致した。組織で観察されるiMCと細胞ソーティングにより回収した細胞集団のphenotypeが一致しないことから、iMCが不均一な細胞集団である可能性や、現在用いている酵素処理では真のiMCが回収できていない可能性が示唆された。今後、細胞分離法の改善とともに組織切片上での新たなiMCのマーカーを探索して、iMCの細胞系譜の確定を試みる予定である。
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Research Products
(1 results)