2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜型増殖因子のER/核膜オートトランスロケーション分子機構解明とがん特性診断応用
Project/Area Number |
22650228
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 教授 (60202272)
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Keywords | 膜型増殖因子 / HB-EGF / amphiregulin / ER/核膜移行 / レトログレード小胞輸送 / 膜型プロテアーゼ / 抗がん剤抵抗性 / 胃がん |
Research Abstract |
Heparin-binding EGF-like growth factor (HB-EGF)やamphiregulin (AREG)は,正常細胞では適切な制御下において、その細胞内局在を細胞膜からER/核膜へと逆行的に変える。一方,悪性度の高い培養がん細胞株で、新規合成されたHB-EGFやAREGが細胞膜に運ばれず、直接ER/核膜に移行する(これをオートトランスロケーションと呼ぶ)例があり、こうした例においては、有意な抗がん剤抵抗性を示すことを、培養細胞系を用いてこれまでに明らかにしてきた。以上の私どもの研究成果に基づき、本研究では、膜型増殖因子HB-EGFとAREGのER/核膜オートトランスロケーションのin vivo解析、その分子機構の解明、ならびに、HB-EGFやAREG発現ヒトがんの抗がん剤感受性診断法の開発・応用を目的とした。 本年度は、昨年度にコムギ胚芽インビトロ膜蛋白質再構成システムを用いて作成した、約100種の膜型プロテアーゼリコンビナント蛋白質のHB-EGFおよびAREGのC-末端ドメイン切断活性を、質量分析系を用いて測定するマルチプルリアクションモニタリング(MRM)システムを構築し、このシステムを用いて活性測定を開始した。 また、本年度は、膜型増殖因AREGのER/核膜オートトランスロケーションのin vivo解析を、腫瘍移植マウスモデル、および、ヒト胃がん手術後のがん組織免疫染色により行った。その結果、膜型増殖因AREGのER/核膜オートトランスロケーション誘導を施した腫瘍移植マウスモデルにおいて、統計的有為差をもって、化学療法薬剤に対して抵抗性を示した。また、ヒト胃がん手術後のがん組織切片を、AREGの細胞内ドメインに対する抗体を用いて免疫染色を行ったところ、AREG陽性検体とAREG陰性検体との間に、化学療法薬剤感受性の統計的有為差は見出せなかったが、生存日数に統計的有為差が認められた。 以上の事から、本研究のヒトがんの抗がん剤感受性診断法開発に向けての有用性と意義が、強く示唆された。
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Research Products
(9 results)