2011 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍における未知の融合遺伝子の発見を可能とする新規ベクターシステムの開発
Project/Area Number |
22650234
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
水野 晋一 久留米大学, 医学部, 講師 (40569430)
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Keywords | ゲノム / 癌 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
悪性腫瘍における未知の融合遺伝子の探索を、高精度かつ経済的に行うことを可能とする新規システムの開発に成功した。本法はメイトペア法を基本としているが、従来のメイトペア法では、複数DNA分子の環状化という原理上不可避のノイズ混入のため、その解析精度は低く、実験過程や解析は煩雑困難であり、融合遺伝子探索への応用は困難であった。本研究では、まずcDNAライブラリーに特異配列アダプター付加し、特異配列前後の酵素処理による、2段階環状化で単分子環状化DNAのみを作成する方法を開発した。実用性の実証には成功したものの、精度上1/1000程度にノイズを減少させることが限界であり、研究の展開を行うためには、この方法ではノイズ排除が不十分であると判断した。そこで、研究開始時のシステムをさらに精錬し、新たに特異配列並置アダプター法を開発した。この方法は、複数分子環状化DNAのノイズの混入を減少させるのではなく、不適格ノイズそのものを解析上(in silico)で完全に排除できる新規の方法で、高精度メイトペア解析方法の開発に成功した。本法により、悪性腫瘍の融合遺伝子の系統的探索が高精度かつ経済的に可能となっており、血液疾患から消化器系固形腫瘍まで幅広く悪性腫瘍の原因融合遺伝子の探索を継続中である。本システムは正確なメイトペア配列解析を可能とするため、そのまま高精度のゲノム構造解析へ応用可能であることも実証できており、融合遺伝子の探索・発見を進めると同時に、悪性腫瘍のゲノム構造解析への応用を開始している。
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