2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍作用を示すアミノ酸抱合高分子ナノ構造体の創製
Project/Area Number |
22650237
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
城武 昇一 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (20143274)
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Keywords | 抗ガン物質探索 / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
グリシンを始め必須アミノ酸22種類を用いて、静脈瘤治療や外科的用瞬間縫合剤として臨床に用いられているn-Butylcyanoacrylate医薬品を重合原料としたアミノ酸抱合ナノ粒子を69種類合成した。各アミノ酸抱合ナノ粒子の抗腫瘍活性をMTTアッセイ法によってスクリーニングした。 本ナノ粒子は、血液系ガン細胞株のヒトT細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、また上皮系ガン細胞株の大腸癌、膵臓癌、肝臓癌に対して濃度・時間依存性の抗腫瘍効果を示し、その強さは既存の抗ガン剤と同レベルであり各抱合されたアミノ酸の種類に依存することが判明した。その中でも、グリシン抱合ナノ粒子は細胞株に依らず強い抗腫瘍効果を示した、一方Arg抱合ナノ粒子の腫瘍作用はほとんど観られなかった。この抗腫瘍効果は、アミノ酸を使わない所謂空ナノ粒子と遊離のアミノ酸をただ単に混合した条件では全く認められず、アミノ酸を抱合したナノ粒子に特異な抗腫瘍作用であることが判明した。ナノ粒子は細胞に取り込まれないので、細胞内残留性がなく、マウスを用いた安全性試験に於いて全く問題がなかった。アミノ酸抱合ナノ粒子は悪性細胞の細胞膜との結合によって抗腫瘍作用を現し、Gly抱合ナノ粒子のTリンパ腫に対する障害性はヒト正常HUVEC細胞への障害性と比べて約100倍も強く、アミノ酸抱合ナノ粒子は各悪性腫瘍へのテーラーメイド治療薬として期待が持てる。
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Research Products
(4 results)