2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造解析・発現制御機構解析に基づくPimキナーゼ阻害薬の創製
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22650238
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
藤田 直也 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター基礎研究部, 部長 (20280951)
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Keywords | Pimキナーゼ / 結晶構造解析 / 阻害剤 / p27^<Kip1> |
Research Abstract |
セリン・スレオニンキナーゼであるPim-1は、もともとマウス染色体へのレトロウイルス挿入に起因するがん化に関連する原がん遺伝子として同定された。研究代表者らは、Pimのがん化における役割を検討する過程で、新規基質としてp27^<Kip1>を同定し、さらにPimがリン酸化するp27^<Kip1>上のアミノ酸残基を同定してきた。そこで、新規Pim阻害剤創製のための構造的基盤情報を得るために、Pim-1とp27^<Kip1>ペプチドとの共結晶のX線結晶構造解析を行なった。SPring-8におけるX線結晶構造解析に耐えうる大きな結晶を得ることに成功し、1.6Aの解像度でデーターが得られた。解析結果は、登録番号3A99としてPDBに登録した。p27^<Kip1>ペプチドのN末端にアルギニン残基が8つつなげた細胞内移行シグナル(R8)を付加し、細胞内へ移行することができるペプチドの作製に成功した。このR8結合p27^<Kip1>ペプチドにより、ヒト前立腺がん細胞株DU145細胞はアポトーシスを起こし、その際にp27^<Kip1>の脱リン酸化だけでなく、他のPimの基質であるBadの脱リン酸化も生じることを見いだした。X線結晶構造解析の結果より明らかとなっていたPimとp27^<Kip1>の結合に関わるアミノ酸情報を元に、Pimへの結合に関わるアミノ酸に変異を入れた変異R8結合p27^<Kip1>ペプチドを作製して同様な検討を行なった。その結果、変異R8結合p27^<Kip1>ペプチドにはアポトーシス誘導能やPimの基質リン酸化を阻害する活性は認められなかった。よって、今回結晶構造解析に用いたp27^<Kip1>ベプチドは、新規Pim阻害剤創製のための基本分子となること、並びに本研究課題で明らかになった共結晶の構造情報を基にすることにより、新たな低分子阻害剤開発が可能であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)