2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン剤使用食肉の摂取とヒトの組織中エストロゲン蓄積および発癌との関連性の究明
Project/Area Number |
22650239
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
半田 康 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (70571785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 英治 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (70435957)
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Keywords | 遺伝子環境相互作用 / 食の安全 / 食肉 / エストロゲン / 発癌 |
Research Abstract |
(1)牛肉、鶏肉中のエストロゲン(エストラジオール、エストロン)濃度測定 食肉中のエスロトゲン濃度測定は、牛肉では、日本、フィリピン、アメリカの三カ国の間の比較では、アメリカ産、フィリピン産、日本産の順にエストラジオールとエストロンが高濃度の結果だった。これは、脂肪部位、赤身部位、いずれにおいても同様であった。フィリピン産と日本産の牛肉の脂肪部位のエスラジオール濃度には26倍の濃度差が認められた。 鶏肉では、アメリカ産、日本産、フィリピン産の順に、脂肪部位、赤身部位ともにエストラジオール、エストロンが高濃度として認められた。日本産鶏肉の脂肪部位のエストロン濃度は、フィリピン産の鶏肉よりも12倍高濃度であった。 これらの濃度の違いは外的なホルモン剤の使用によると考えられる。 (2)ヒトの皮下脂肪組織中のエストロゲン(エストラジオール、エストロン)濃度測定 日本とフィリピンの閉経後の女性患者(良性疾患)の皮下脂肪組織中のエストロゲン濃度は、日本人女性(n=15)とフィリピン人女性(n=6)の間には有意差は認められなかったが、中央値の比較ではフィリピン人女性の脂肪組織中のエストロンは日本人女性に比べて4.9倍高濃度だった。 (3)食事内容の比較 食事頻度調査から、フィリピン人女性では、日本人女性に比較して、牛肉、鶏肉の摂取頻度、摂取量ともに少ない一方、マクドナルド等のファーストフード店でのハンバーガー、チキンなどの加工食肉の摂取頻度が高かった。 (4)結論 脂肪組織中エストロゲン濃度はフィリピン人女性が日本人女性よりも高濃度である結果であるが、これはBMIや年齢構成の違いにより生じた可能性を否定できない。このため、ホルモン剤使用食肉の摂取とヒト組織中エストロゲン蓄積との関連、ホルモン依存性癌の発生率の関連について、現在までの検討で結論を出すことはできない。
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