2012 Fiscal Year Annual Research Report
海洋有機物動態を解く鍵物質「グリコカリックス」の提案・機能検証
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22651005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田上 英一郎 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (50133129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 民人 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (60313988)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 物質循環 / 有機地球化学 / 溶存有機物 / 懸濁態有機物 |
Research Abstract |
本研究では、海洋の有機物プールに2種類のグリコカリックスが存在することを想定した。1つは、生細胞が分泌するグリコカリックス(糖衣)であり、もう一つはバイオフィルムマトリックスを構成するグリコカリックスである。両者とも複合糖質の複合体であることは同じだが、前者は「生きた」有機物で複雑ではあるがリジッドな構造を持つ糖ポリマー、後者は「死んだ」有機物で分解産物も含む不定形ゲルとして存在していると考えた。グリコカリックスを構成する複合糖質は特有の化学的性質及び組成を示す。複合糖質の化学的性質を基礎に海洋有機物を分画・精製し、精製画分から個々の複合糖質を分離し、特有な成分を検出すればグリコカリックスの存在と機能に関する情報が得られる。本年度は、グリコカリックスの分画・精製を行った。グラスファイバーフィルターにて懸濁態有機物を除去した海水を限外濾過し、高分子溶存有機物を濃縮採取した。フィルターに捕捉された懸濁態有機物ならびに脱塩・乾燥した高分子溶存有機物について、SDS- 尿素溶液を用いて抽出を行い、「不定形ゲル(バイオフィルム) を形成するグリコカリックス」との「糖衣として存在するグリコカリックス」の分画を行った。FACE法を適用して、複合糖質の糖鎖を検出した結果、両方の画分について糖鎖が検出された。TFMS法を用いて、N-結合型およびO-結合型糖鎖を遊離させて、FACE法を適用したところ、泳動像上に明確なバンドが得られた。また、高分子溶存有機物画分から脂質を抽出しNMR法を用いて、その化学構造を見た結果、糖脂質が確認された。TFMS法を用いて、N-結合型およびO-結合型糖鎖を遊離させて、FACE法を適用したところ、2~23糖の多糖であることが分かった。この結果は、懸濁態有機物ならびに高分子溶存有機物中にバイオフィルムならびに糖衣としてグリコカリックスが存在する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)