2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全・CO2削減・経済性に着目した森林起点型地域づくりデザイン指標の提案
Project/Area Number |
22651012
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
篠田 成郎 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (80187369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 朗義 岐阜大学, 工学部, 教授 (30322134)
児島 利治 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (90346057)
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Keywords | 緑のダム / 間伐 / 森林土壌 / 炭素収支 / 環境変動 / リモートセンシング / 応用一般均衡モデル / 便益評価 |
Research Abstract |
本研究では,全ての森林に対して定量的な公益性評価に基づく経済価値を与え,この対価として公共資本が適正に投下されることにより地域社会が活性化されるしくみを実現するために,温暖化・気候変動下において,森林管理・木材利用による環境保全・防災・炭素固定の機能変化と地域経済への影響を定量化し,これらの得失を客観的に評価できる新しい指標(森林起点型地域づくりデザイン指標)を提案することを目的としている. 本年度は,現地観測とモデル化を通じて,森林管理による環境影響および木材資源・炭素収支の変化を定量化するための基本的関係を明らかにした.とくに,洪水・渇水リスクのみならず,森林内生物生息状況や炭素収支には,土壌中も含めた森林全体での水収支が大きく関与しており,森林生態系としての水分保持特性を基本とした指標化が有効になることがわかってきた.また,CO2排出抑制・温暖化防止を目指した地域社会システムの評価方法についても検討し,その基本モデルを構築した.さらに,森林づくり・地域づくり施策に関するオーストリアでの現地調査やドイツやスイスでの森林・林業施策を調査した行政関係者等との共同により,欧州での森林施業や森林を地域活性化に役立てる基本的しくみについて検討した.その結果,欧州では,現場のフォレスターの経験に基づく森林機能評価が実践されていることに加え,こうして得られる情報をGISで統合化・共有化することにより,総合的施策展開を可能にしていることを把握できた.我が国の森林・林業施策ではフォレスター制度の導入による木材生産力の向上だけを目指しているが,森林を内包した新たな地域社会のしくみづくりも視野に入れることが不可欠となっており,本研究で目指している地域社会システムの中での森林機能評価が,我が国の森林施策において,極めて重要なツールとなり得ることを示すと判断された.
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Research Products
(11 results)