2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22651019
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
児玉 靖司 大阪府立大学, 産学官連携機構, 教授 (00195744)
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Keywords | 神経幹細胞 / 放射線生体影響 / ニューロスフェア / DNA2本鎖切断 / リン酸化ヒストンH2AX / 未成熟染色体凝縮 / 不死化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、神経幹細胞を用いた新しい放射線生体影響評価系を確立することである。そのために、本研究では2つの目標を掲げた。1つめは、神経幹細胞での放射線応答に関する特徴を明らかにすること、2つめは、神経幹細胞の特徴を有した細胞を不死化して、放射線生体影響評価に使用可能な細胞株を樹立することである。まず、1つめの目標のために、14.5日齢のICRマウス胎児脳から神経幹細胞を含むニューロスフェア形成細胞を培養系に移し、X線照射後のDNA修復能について調べた。指標はリン酸化ヒストンH2AX(γ-H2AX)フォーカス形成と未成熟染色体凝縮(PCC)を用いた染色体切断数とし、マウス胎児線維芽細胞を対照として比較した。その結果、ニューロスフェア形成細胞は、線維芽細胞に比べて、被ばく後3時間までの放射線誘発DNA2本鎖切断の修復が有意に速いことが明らかになった。このことは、ニューロスフェア形成細胞が高いDNA修復能を有していることを示唆している。一方、一定数のニューロスフェア形成細胞を3日毎、5日毎、10日毎に一定面積のフラスコで継代培養したところ、3日毎の継代培養では細胞老化により増殖停止したのに対し、5日毎と10日毎の継代培養の場合には集団倍加数が100を超え、不死化することがわかった。線維芽細胞も3日毎の継代培養では細胞老化により増殖停止したが、10日毎の継代培養では不死化した。これらの不死化した細胞は、今後、放射線による生体影響評価実験系への応用が期待される。
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