2010 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙による潰瘍性大腸炎発症の抑止:遺伝子改変マウスを用いた新規治療戦略の確立
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22651020
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
北村 正敬 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90333062)
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Keywords | 喫煙 / タバコ煙 / 芳香族炭化水素受容体 / 漬瘍性大腸炎 / DSS腸炎 / 遺伝子改変マウス / シグナル伝達 / 治療 |
Research Abstract |
1申請者らが開発したDRESSAマウスは、生体内に於けるaryl hydrocarbon receptor(AhR)の活性化を、血中のマーカー酵素(secreted alkaline phosphatase;SEAP)の測定により、あるいは組織に於けるSEAP(mRNA、タンパク、酵素活性)の発現を指標にして、高感度にモニタリングすることが可能である。本年度ではまず、このユニークなセンサーマウスを用い、喫煙が全身および局所臓器におけるAhRを活性化するか否かを検証した。具体的にはDRESSAマウスにタバコ煙を曝露させ(高濃度能動喫煙)、血中のSEAP活性を測定し、また体内でAhRの活性化が起こるか否かを検討した。その結果、タバコ煙を曝露させDRESSAマウスでは血中のSEAP活性の上昇が生じ、種々の臓器において喫煙により体内でAhRの活性化が起こることが証明された。この事実は、RT-PCR法を用いた各種臓器に於けるSEAP mRNAの発現上昇、およびAhR活性化の内因性マーカーであるCyp1A1の発現上昇によっても確認された。 2実験的潰瘍性大腸炎モデルであるdextran sodium sulfate(DSS)腸炎を作成し、AhRの活性化がその病態を軽減するか否かを検討した。具体的には、AhRの強力な活性化物質である2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)を1回強制経口投与し、その後DSS腸炎を誘発、病理組織学的検討および炎症の生化学的パラメータの解析を行った。その結果、TCDDによるAhRの活性化は、DSS腸炎の発症進展を抑止する事が明らかになった。この研究成果は、山梨大学医学部免疫学講座中尾篤人教授との共同研究による。
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Research Products
(6 results)