2010 Fiscal Year Annual Research Report
電磁処理による水配管のスケール防除の機構解明と応用
Project/Area Number |
22651023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 尚司 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (00111253)
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Keywords | 電磁処理 / 配管スケール / スケール防止 / ゼータ電位 / 特異吸着 |
Research Abstract |
平成22年度は電磁処理実証試験と実証データの収集を行った。東北大学病院における蒸気発生器、民間の液化ガス工場の冷却設備における実証試験から、フェライトヨークコイルの有効性と印加電磁場の周波数依存性、更には高周波数域(8kHz)又は低周波数域(4kHz)における逆帯電効果が確認された。この逆帯電効果は、実験室で炭酸カルシウム及び酸化チタン粒子のゼータ電位測定を行った際に確認されていた現象であるが、現象の再現性が必ずしもよくなかったためにこれまで重視していなかった。しかし、各種水処理薬品との併用を行う場合には無視できない効果であり、機構解明の面からも非常に重要な知見である。 実証データの調査と吸光光度計による水質調査から、シリカスケール防止においては実操業上の水質管理基準値としてシリカ/Caモル比と導電率の重要性が明らかになってきた。これは電磁処理のための管理法を構築する上で、定量的指標の一つになるものと推定される。但し、本知見を確認するためシリカスケール問題を抱えるボイラー設備において実証試験を予定していたが、東日本大震災により実証試験を予定していた工場が津波で消失したため棚上げになっている。 また、東北大学病院では冬場の外気を利用したフリークーリングシステムが稼働しているが、熱交換器のスケーリング問題により、わずか2年間(実質8ヶ月間)の使用でカタログスペックの1/4以下にまで熱効率が低下していることが判明した。当設備冷却水の電磁処理との適合性を調査したところ、適切な薬品(三菱化学コントライムMシリーズ)を併用することにより適用が可能であると判定された。当設備はエネルギー使用の経年データが蓄積されているため、電磁処理導入による熱効率改善、CO_2削減、コスト削減効果がよく把握できる。よって、現在当設備での電磁処理実証試験の準備を行っている。
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