2011 Fiscal Year Annual Research Report
高度にキラル制御された乳酸ポリマー創製を目指した生体触媒開発
Project/Area Number |
22651032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 精一 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70216828)
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Keywords | キラルポリマー / 立体化学制御 / 酵素進化工学 / キラルモノマー / 微生物重合 |
Research Abstract |
我々が開発した乳酸ポリマー合成プロセスを基盤にして、ポリマー合成の要である乳酸重合酵素のキラル認識に着目した。全てD体から成る乳酸ポリマーに光学異性体であるL体乳酸モノマーを取り込めるような酵素を開発できれば、それは世界初のキラル制御可能な乳酸ポリマーの微生物重合システムとなる。すでに、両キラルモノマーが個別に供給されるプラットフォーム作りの基礎が大腸菌の発現系で整備できた。D体乳酸に関しては、組換え大腸菌の外から添加することで、細胞内部に取り込まれ、外来酵素のCoA転移酵素により乳酸CoA(モノマー基質)が合成される基礎データを取得できた。また、そのモノマー基質が乳酸重合酵素によりポリマー鎖内に取り込まれることも確認できている。そこで、内在性で生合成されるD体乳酸からの干渉を極力回避する培養条件を最適化し、高純度光学異性モノマーの供給経路を構築している。一方、プロトタイプ乳酸重合酵素は、その分子内に二重変異を有しており、乳酸重合に関与する部位特定のベースとした。さらに、乳酸の供給量を強化した代謝経路に順次以下に示す酵素変異体を投入している。本系は、特異的に染色される色素を含有したプレート上で簡便にスクリーニングできるアッセイ系となっており、酵素活性の機能評価が可能である。ポジティブクローンを取得後、DNA配列分析し、キラル認識に関与する部位の特定に移行している。逐次生合成されるポリマーサンプルの光学異性分析は、NMRおよび加水分解物の光学分割カラム搭載HPLCによって行うことで、本プロジェクトの実効性が検証されることになる。
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