2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドロゲル表面の特異なナノ構造を利用した新規接着原理の構築
Project/Area Number |
22651033
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 淳史 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (90162924)
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Keywords | ハイドロゲル / N-イソプロピルアクリルアミド / ポリアクリル酸ナトリウム / 相転移 / 接着 / 十字点接触 / ミクロドメイン構造 / 粘弾性 |
Research Abstract |
本研究は、ハイドロゲル間の接着力を、ゲル表面の特異な構造とゲルの外部環境変化に伴う表面の微細構造変化を利用して制御するための基礎ならびに応用研究を行うものである。 当該年度の具体的な研究成果は以下の通りである。 (1)ハイドロゲルの作製:熱応答性のN-イソプロピルアクリルアミド(主鎖)、N,N'-メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)、重合促進剤を純水に溶かし、窒素ガス雰囲気の下で重合を開始し、ガラス管とシランカップリング剤で処理したガラス丸棒との間の隙間でゲル化させた。ポリアクリル酸ナトリウム溶液と無水水酸化アルミニウムAl(OH)_3を用い、ガラス管とガラス丸棒との間に室温で1週間静置して物理架橋ゲルを作製した。主鎖と架橋剤のモル濃度を変化させて、厚さと架橋密度の異なるゲルを多数作製した。 (2)接着特性装置による接着力の測定:ガラス棒の周りに固着した試料を2つ準備し、それらが互いに直交するように十字点接触させ、一方を他方に押付け、垂直荷重W、押付けた状態での待機時間t_w、引き剥がし速度vを変化させ、接着力と剥離仕事に及ぼす、W、t_w、vの寄与を詳細に調べた。 (3)接触面の形状観察:フィブリル(微小繊維)、またはゲルの破壊現象を観測するために、デジタルマイクロスコープを用いて接触面の動的なマクロ形態の変化を観察した。また、剥離前後の静的表面の微小領域(サブミクロン以下)の形態、ミクロドメイン構造の変化を観察し、マクロな形態変化と比較した。 (4)接着力におよぼす内的・外的因子の検討:高分子鎖間の接触点を増加させ、アンカー効果を高めるための内的条件、(ゲルの厚さと硬さ)と外的条件(W、t_w、v)を明らかにした。ゲルの接着力の発現機構を、物理的な諸因子(表面ラフネス、相関長、相溶性を表わすxパラメータ,平均鎖長)を用いて検討した。
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