2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドロゲル表面の特異なナノ構造を利用した新規接着原理の構築
Project/Area Number |
22651033
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 淳史 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (90162924)
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Keywords | ハイドロゲル / N-イソプロピルアクリルアミド / ポリアクリル酸ナトリウム / ポリビニルアルコール / 表面ナノ構造 / 接着 / 点接触 / 粘弾性 |
Research Abstract |
ハイドロゲル間の接着力を、ゲル表面の特異な構造とゲルの外部環境変化に伴う表面の微細構造変化を利用して制御するための基礎ならびに応用研究を行なった。当該年度の具体的な研究成果は以下の通りである。 (1)ハイドロゲルの作製:前年度に引き続き、熱応答性のN-イソプロピルアクリルアミドゲル、ならびにポリアクリル酸ナトリウムゲルを作製した。これに加えて、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルをキャストドライ法にて作製した。 (2)ゲルの表面とバルクの性質の評価:ゲルの表面とバルクの物理・化学的性質の接着力に与える影響を検討した。ゲル化条件とゲル化後の外部環境に依存する表面の網目構造を、ATR法によるフーリエ変換型赤外分光分析(FT/IR)測定を行ない、表面の性質を検討した。接触面積、バルクの粘弾性特性、接触界面での水素結合形成に関係する分子構造を詳しく分析して、接着力を制御するためのバルクの硬さと分子間相互作用の選択方法を検討した。 (3)接着特性におよぼすゲル表面のナノ構造の影響評価:前年度の実験は、平衡状態にある2つのハイドロゲル間の接着特性であり、外部環境が一定の下で測定を行なった。本年度は、接着時と剥離時の外部環境を変化させ、非平衡状態、もしくは非平衡状態からの緩和過程での接着特性の変化について検討し、表面の特異構造の役割を検討した。 (4)接着特性制御と耐久性実験:点接触による静的/動的な接着特性を詳細に検討し、固体表面の接着特性制御に適した実験条件(内的・外的条件)を決定した。外部環境を繰り返し変化させて、接着-剥離の繰返し実験を行ない、長期の繰り返し動作によるハイドロゲルの寿命・耐久性の検討を行った。 (5)研究の総括:ハイドロゲル表面間の接着特性の客観評価の結果から、実験上の影響因子として、垂直荷重、固着時間(静置時間)、引き剥がし速度、試料の曲率半径、ゲルの物質因子として、試料厚さ、硬さ(架橋密度)、総高分子濃度の影響をまとめた。以上の結果から、ハイドロゲルに固有の表面のナノ特性を利用した接着力制御の可能性を総括した。
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