2011 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴軟X線GISAXS法実現によるナノ多層化材料の3次元機能構造相関の可視化
Project/Area Number |
22651034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 浩司 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50214060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 庄治郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (30111925)
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Keywords | 軟X線共鳴散乱 / GISAXS / コントラスト変化 / 高分子薄膜 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究ではこれまで実現が困難であった軟X線領域での共鳴GISAXS法を実現することにより、表面あるいは表面直下数十ナノメートル程度の埋め込まれた3次元構造を元素選択的に評価する方法を確立する。軟X線領域での共鳴GISAXSを実現するために必要な実験的、解析的手法の開発を進めるため、本年度はその定量性と、より軟かい波長領域への拡張のための最終準備をおこなうことを目的とした。PFの被災による実験の遅れからの回復を目指し、本年度は仮に借用できる装置でのテスト的な3d-L領域の軟X線での散乱強度測定を試みた。しかし最終的にこの装置での定量測定は測定に要する時間と測定データの質の問題から目的に到達できないものであったため、本年度は軟X線領域での電荷共鳴散乱による屈折率精密制御とともに、磁性敏感なナノ構造解析手法を実現するためのもうひとつの展開手段としてのGISANS実現のための予備実験をすすめた。電荷共鳴散乱を利用した屈折率精密制御に関しては磁性ナノ粒子の担持材料である高分子ナノ薄膜とSi基板の屈折率差をSiの吸収端での異常分散効果を利用することによって実質的に消去することが可能であることを実験的に証明することに成功した。一般にはナノ磁性粒子を基板に固定する高分子膜と比べてSi基板は原子番号が大きいために高分子と基板の界面において強い屈折率差による反射を起こすことが構造解析上邪魔であった。本研究でSiの屈折率を高分子に一致させることによってあたかもSiが高分子と同一物質であるかのようにみえる光学条件が実現することをGISAXSパターンの実測と解析によって実証することに成功した。これは軟X線での共鳴散乱現象を利用した新規かつ有効な成果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3d-L領域の散乱測定に利用する予定であった共同研究先の装置が震災からまだ回復していないため、使用できない。本年度別装置での仮データ測定をおこなったが、必要な精度と統計が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画中の別項目を先行させて進めるとともに、軟X線以外の磁性敏感プローブとしての中性子の相補利用をGISAXSとのデータ比較検討の観点から準備しているところである。最終年度に共同研究先の装置が回復しないという最悪の状態になっても当初の計画については軟X共鳴散乱、シミュレーション、磁気敏感ナノ構造解析の観点からは成果がそろう方向で研究を進めている。
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Research Products
(6 results)