2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子線多波屈折を利用した単一超微粒子の結晶内ポテンシャル解析法の研究
Project/Area Number |
22651037
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石政 勉 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10135270)
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Keywords | 多波屈折 / 電子線回折動力学理論 / 超微粒子 / プリズム型結晶 / A15型 |
Research Abstract |
電子線多波屈折を利用した単一超微粒子の新しい精密構造解析法について研究を行った。平成22年度においては、(1)超微粒子作製装置の整備、(2)Cr超微粒子試料の作製と電子線多波屈折の観察、および(3)電子線回折動力学理論に基づく多波屈折のシミレーションプログラムの試作を行った。 (1)既存のターボ分子ポンプと石英ガラス製ベルジャーを活用した真空排気系を整備した。予算の都合上、全体的に超高真空規格にすることはできなかったが、到達真空度2×10^<-7> Tbrrを確認した。 (2)ガス中蒸発法を用いてA15型構造をもつ超微粒子を作製した。電子顕微鏡JEOL200CXを用いて、{211}面で囲まれた直径1200~3000Aの微粒子から[100]入射電子線回折像を得た。そのなかに多数の多波屈折点を観察し、位置・強度のデータを得た。 (3)通常使われている電子回折動力学理論のシミレーションは、全て平行平板結晶を仮定しており、プリズム型結晶は扱えない。そこで、動力学理論(Bethe法)を見直して、「入射波数ベクトルに対して入射面と出射面が傾斜している境界条件」を扱えるように定式化を検討した。それを用いてA15型Cr[100]入射の多波屈折をシミレーションするプログラムを試作した。ここでは、電子の弾性散乱のみを仮定し、吸収を考慮しなかった。このプログラムの計算結果と(2)で述べた実験結果を比較した結果、直径2500Aの微粒子において、屈折波の位置を定量的に再現できることが判った。この過程で、9反射について暫定的な電位フーリエ係数を求めることができた。以上の結果から、多波屈折の情報を含む1枚の電子回折図形から結晶内投影ポテンシャルを解析できることが判明した。
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Research Products
(2 results)