2010 Fiscal Year Annual Research Report
巨大負熱膨張率・強誘電性をもつマルチ新機能ナノ磁性体の創製
Project/Area Number |
22651044
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鄭 旭光 佐賀大学, 工学系研究科, 教授 (40236063)
|
Keywords | 新規ナノ物性 / 巨大負熱膨張 / ナノ磁性体 / マルチフェロ物質 |
Research Abstract |
本研究は、申請者の磁性ナノ粒子の巨大負熱膨張現象という新発見に基づき、新しいマルチ新機能をもつナノ磁性体・デバイスの開発を目的とする。 我々は磁性ナノ粒子の熱膨張特性を研究し、結晶と磁性との相互作用が強い酸化銅ナノ粒子において-1.1×10^<-4>/℃という巨大負熱膨張率特性を発見した「Nature Nanotechnology 2008年12月号ハイライト論文を掲載」。これはナノ科学として興味深い現象とともに、超安定ナノマシンなどの微小機械への応用を原理上可能にしたものである。さらに、磁気と負熱膨張との相関の研究を発展させ、ナノスケールの温度・圧力敏感スイッチやセンサといったマルチ新規機能のナノ粒子・デバイスの開発へ道を拓くことを目的とした。 22年度は (1)他の負熱膨張材料の探索と高温材料開発 (2)単一ナノ粒子での誘電率・電場磁場効果測定等による巨大負熱膨張機構の解明 を目標とした。他の候補物質のナノ結晶の合成をおこなっており、ビスマス鉄系物質のナノ粒子合成に成功した。これらのナノ粒子での熱膨張測定を行ったところ、負熱膨張は現象的にこれらの系において広く存在することを確認した。さらに原理の解明を進め、室温を含む高温負熱膨張材料の開発につなげる。また、中性子を用いた予備的な実験により電場印加時は結晶格子の変化が観察され、中性子測定の分解能の制限により格子変化は解析ができるほど明瞭ではなかったが、ナノ磁性体の電気と磁気性質の相関を確認した。さらに、誘電特性と磁気相転移の直接関連も明らかにした。今後放射光を利用した測定を行うことで格子変化を精密に解析し、巨大負熱膨張機構の解明を行う。
|