2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテンプレート法によるマイクロコイル電波応答材料
Project/Area Number |
22651051
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
彌田 智一 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (90168534)
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Keywords | スピルリナ / マイクロコイル / バイオテンプレート / ギガヘルツ / 電波吸収材料 / 銅めっき / 左巻き |
Research Abstract |
本研究は、らせん形状の生物組織をテンプレートとした金属マイクロコイルの作製と電磁波応答材料の開発を目的としている。バイオテンプレートには、直径60ミクロンの維管束植物の道管壁にある「らせん紋」や直径20ミクロンの藍藻類スピルリナを用いた。いずれのらせん形状も左巻きのみ存在する。スピルリナには、グルタルアルデヒドによる表面固定化を前処理として行うが、いずれのテンプレートにおいても通常の市販金属めっき浴を適応して金属被覆できることを見いだした。今年度は、得られた金属マイクロコイルの電磁気学的特性評価を行った。コイル一本の両端を導電ペーストにより固定し、電場を印加したところ、誘導磁化の発生が超伝導量子干渉計により観察された。これは同程度の線径をもつ金属ワイヤでは観察されないことから、バイオテンプレートプロセスにより得られたサンプルのコイル形状に特異的な特性であるといえる。さらに印加電流に対する誘導磁化率の関係から、コイルがナノヘンリーレベルの極小自己インダクタンスを示すことを明らかにした。また、パラフィン中に分散したコイルシートを作製し、テラヘルツ偏光分光測定を検討したところ、0.5から1.5テラヘルツにブロードな旋光性を伴う吸収帯が観察された。別途行ったFDTD法による偏光テラヘルツ波吸収特性シミュレーションは、一周のコイル長に対応する1.35テラヘルツに旋光性をもった吸収帯を与えた。吸収帯とコイルの共鳴モードの帰属についてさらなる考察が必要であるものの、以上の結果から、左右円偏波を認識する旋光性マイクロコイルの開発に成功したといえる。一方、加熱した液体パラフィンシートにコイルを分散し、冷却固定する前に櫛形ブレードを一方向にスライドしたところ、スライド方向とコイルの長さ方向が水平になることがわかった。今年度後半には、これを利用した配向サンプルの試作に着手することができた。
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