2010 Fiscal Year Annual Research Report
地球化学的方法による津波痕跡の検出および海水流入量の評価
Project/Area Number |
22651066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
箕浦 幸治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10133852)
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Keywords | 津波 / 津波堆積物 / 溯上 / 溯上痕跡 / 炭酸塩化 / 海水溯上域 / 化学沈澱メカニズム / 浸水域評価 |
Research Abstract |
津波堆積物の検出により,世界各地の海岸域において,過去の津波襲来時期やその規模が明らかにされてきた.しかし,津波堆積物の形成は,津波自体の流体力学的特性はもとより,堆積物供給源と運搬経路に依存している.その結果,津波堆積物の分布様式は局所性が非常に強く,その分布範囲から津波の浸水域を明らかにすることには困難が伴う.また,近年発生した津波の現地観測によれば,津波の浸水範囲は津波堆積物の分布限界よりも内陸に広がる場合があることが報告されている.海水の侵入域が明らかに特定できれば、津波発生モデルの精度が向上し、津波の発生周期の確定により、津波災害の予知・回避に向けて大きく貢献でするものと期待される。海水潮上限界の高精度検出法の確立が真に求められる所以である。本研究では、海水-湖沼水急激混合による特殊な化学反応の機能を解明し、その結果に基づき津波痕跡を検出する手法を開発してフィールド適用を試みた。陸水と会合しない場合には、潮上海水は蒸発や浸透の過程で堆積物と相互作用し、特有の物質が残されると予測される。この化学的なメカニズムを明らかにし、津波による真の海水侵入域特定の方法論的考察を行った。津波の湖上現象を化学量論的に解明する試みはこれまで皆無であり、浸水域を正確に評価する常套的技術の確立が達成されると期待される。これまでの予察的な結果では、海水と陸水の混合により炭酸塩が晶出する機能が判明し、炭酸塩量はおおよそ海水流入量を反映する事実が明らかとなった。平成23年度は、蒸発作用に伴う塩類沈澱の様式を解明し、浸水域評価の新基準を構築する。なお、22年度の研究成果の一部を、平成22年9月開催の国際堆積学会(メンドーサ)で公表した。
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Research Products
(6 results)