2011 Fiscal Year Annual Research Report
地震動の事前推定波形を用いた次世代構造制御システムの開発
Project/Area Number |
22651067
|
Research Institution | Taisei Technology Center, Taisei Corporation. |
Principal Investigator |
長島 一郎 大成建設株式会社技術センター, 建築技術研究所・防災研究室, 室長 (10374042)
|
Keywords | フィードフォワード制御 / フィードバック制御 / 部分空間法 / インパルス応答関数 / 地震動予測フィルター / 次世代構造制御 |
Research Abstract |
建築構造物における従来のアクティブ型の振動制御はフィードバック制御に基づいており、制御効果は高いが大地震時には制御に多大なエネルギーを要するため、地震応答制御への適用は困難と考えられている。本研究では、先ず地震発生時に震源近傍の観測地震動波形を利用して、伝播経路の伝達特性(地震動予測フィルターと呼ぶ)を考慮して、震源から離れた地震動予測地点における主要動の時刻歴波形を到達前に推定する。次に、その推定情報を利用して制御効率を格段に向上させるフィードフォワード制御に基づくアクティブ型の次世代構造制御システムを開発する。 本年度は、地震発生時に地震動が到達するまでの余裕時間分の入力地震動推定波形を用いて、多自由度振動系を対象としてフィードフォワード制御力を時間領域で逐次決定する方法を定式化した。フィードフォワード制御力を決定するには、入力地震動の全時刻歴が必要と従来考えられていたが、本研究では、先ず区分時間毎に推定した地震動波形を用いてもフィードフォワード制御力を決定出来ることを示した。次に、入力地震動の全時刻歴波形を用いたフィードフォワード制御と同等の制御効果を発揮させる事を可能にする制御アルゴリズムを開発すると共に、その適用条件を、アクティブ免震を想定した1質点振動系に対する数値解析を通して明らかにした。 フィードフォワード制御の効果を疑似的に考慮するため、地震動予測フィルターを制御対象の動特性と併合した拡大系の状態方程式を構築し、この状態方程式に基づくフィードバック制御についても合わせて検討を実施した。フィードフォワード制御で想定したのと同じ制御対象と入力地震動に対する数値解析を実施して、提案したフィードフォワード制御は拡大系のフィードバック制御に比べても、特に制御対象の固有振動数近傍において格段に制御効率が高いことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度,区分時間ごとに推定された地震外乱情報を用いて,フィードフォワード制御力を決定する一般性のある制御法を開発することに成功した.今後の本研究の進展に一定の目途がついた.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究において最も重要な,区分時間ごとに推定された地震外乱情報を用いてフィードフォワード制御力を決定する制御法に一定の目途がついた.今後は,この制御法を用いて制御効率を最大化するための条件や,制御力を発生させる各種制御方式の検討を進め,次世代構造制御システムの提案を行う.
|
Research Products
(1 results)