2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22651074
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
深町 昌司 日本女子大学, 理学部, 准教授 (20323446)
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Keywords | メダカ / ソマトラクチン / 脂肪率 |
Research Abstract |
昨年度に立ち上げたメダカの肝臓脂肪率の測定系を用いて、脳下垂体から分泌される魚類特異的ホルモンであるsomatolactin alpha(SLa)の発現量の違いが、脂肪率に影響するかどうかを検証した。実験に用いた系統は、SLa欠損突然変異系統(color interfere;C1)、SLa過剰発現トランスジェニック系統(Actb-SLa:GFP)、SLa通常発現野生型系統(Hd-rrおよびHNI)の4種類、及びこれらの交配によって遺伝的背景を標準化したF_2である。また、昨年度の研究ではSLaの発現量よりも飼育環境や魚の月齢が脂肪率を大きく左右することが示唆されたため、水槽色(黒vs白)、食餌(通常vs絶食)、水温(屋内25度vs屋外4度)、月齢(10~17ヶ月魚)等の条件を変えた実験も行った。 その結果、メダカの肝臓の脂肪率は成長するにつれて急激に上昇することが明らかとなり、最短で2ヶ月の違いで有意な差が検出された。先行研究(Fukamachi et al.2005 Genetics:2009 Gene)では、3か月間以上同じ環境で飼育した魚を実験に用いはしたが、ここまで厳密には月齢を揃えていなかった。従って、先行研究で検出されたCi,Actb-SLa:GFP,HNI間の脂肪率の違いは、SLaの発現量ではなく、むしろ月齢の違いの方を反映していた可能性がある。 そこで、同じ週に生まれたF_2をSLaの発現量に応じてグループ分けをして脂肪率を比較したところ、ある交配ではSLaの発現量が多いと脂肪率が有意に上昇することが示されたが、別の交配ではそうならなかった。SLaには脂肪率を高める役割がありそうだが、その作用が顕在化するのは特定の遺伝的背景や月齢においてだけなのかもしれないと考えている。以上の結果を論文にまとめ、現在投稿中である。
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Research Products
(3 results)