2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境指標生物であるミジンコの逆遺伝学的手法の開発:エコゲノミクスの新規アプローチ
Project/Area Number |
22651078
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
井口 泰泉 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90128588)
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Keywords | ミジンコ / 逆遺伝学 / エコゲノミクス |
Research Abstract |
ミジンコ類(枝角目甲殻類)は世界中の淡水に生息し、扱い易いことから生態学の研究に用いられてきた。ミジンコ類は、動物プランクトンとして食物連鎖で重要であり、環境指標生物にも指定されている。我々はミジンコ類の中で最大級であるオオミジンコのESTを約5万決定し、マイクロアレイを作製して化学物質などの環境要因に応答する遺伝子を網羅的に解析するエコ(トキシコ)ゲノミクスを開始している。さらに我々はミジンコ類で初めてオオミジンコ卵への二重鎖RNAの微量注入によるRNAiを確立した。今後、詳細に遺伝子機能解析を進めるには、導入遺伝子の発現を自在に制御することが必要である。本年度は、主に、遺伝的な交配実験系の開発について解析を行った。オオミジンコは、自然環境条件により、単為生殖と有性生殖を使い分ける。光、温度、密度を調節し、一部のミジンコに雄が出ることが分かったが、1つのバロメーターを動かしただけでは、雄は生まれなかった。したがってミジンコは、複数の外部環境シグナルを統合して、単為生殖と有性生殖を切り替えることが分かった。また、tol2(主にゼブラフィッシュの研究で使われている)トランスポゾン及び、HSP70プロモーターを用いたトランスジェニックミジンコの作出を試みたが、このプロモーターを活性化させるためのヒートショックの条件ではミジンコの生存が難しい。そのため今後、ヒートショックの条件検討またはその他のプロモーターを使用する必要がある。
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