2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん転移の分子機構の解析を目指した糖鎖プライマー法による比較グライコミクス
Project/Area Number |
22651083
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 智典 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00162454)
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Keywords | 糖鎖 / 糖鎖プライマー / がん細胞 / がんの転移性 / 糖鎖合成遺伝子 / 質量分析 / 糖鎖生合成経路 |
Research Abstract |
癌細胞の転移性に関わる分子として糖鎖が知られている。本申請研究では糖鎖プライマー法を用いて、細胞に発現する糖鎖構造を迅速かつ高感度に分析し、転移性の異なる細胞間で糖鎖構造を比較する。異なる糖鎖生合成経路の基質となる複数の糖鎖プライマーを用いることで、細胞に発現する多様な糖鎖を検出する。転移性に関与する糖鎖の合成遺伝子の発現と糖鎖の認識機能の解析を行うことで、転移に関わる糖鎖に対する「比較グライコミクス」の手法を確立することを目的としている。 骨肉腫細胞では、高転移株と低転移株において糖鎖プライマー法による糖鎖の比較解析を行った。ガングリオ系列の糖鎖とグリコサミノグリカン型での糖鎖の違いが見られた。グリコサミノグリカン型の違いは新規な知見であったことから、糖鎖プライマー法により示唆されたグリコサミノグリカンの糖鎖合成酵素の検出を行い、ノックダウンアッセイによる細胞の運動能への影響を明らかにした。また、肺腺がん細胞においては、高転移性の細胞において、複数の糖鎖合成経路において硫酸基転移酵素の発現が観察された。複数の硫酸基転移酵素の存在が確認されたが、そのうちのひとつの酵素をノックダウンすることで細胞の運動性に影響することが示された。 以上のように、糖鎖プライマー法により細胞の運動性に関与する糖鎖合成経路を簡便に特定することができた。
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