2010 Fiscal Year Annual Research Report
アラビア語資料とユダヤ諸語資料に見る聖書中の人物イメージの伝承と発展
Project/Area Number |
22651089
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高階 美行 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (70144540)
|
Keywords | 地域研究 / 外国文学 / 西アジア / ユダヤ諸語 |
Research Abstract |
1.研究の目的から見た実績 (1)本研究は、宗教文化が異なるために研究上も異なる研究者が対象としてきた聖書中の主要な人物のイメージに関する伝承と発展のプロセスを、アラブ・イスラーム文化ではアラビア語文献を、ユダヤ文化ではユダヤ諸語文献を使用しつつ分析し、インタラクティブな視点で伝承の成立、相互影響、発展の視点から跡付けることを目的とする。 (2)このために、2009年9月30日に開催したイスラエル国ハイファ市での国際会議(イスラエル国立アラビア語アカデミーと大阪大学世界言語研究センターとの共催)での発表をベースに、その後の研究成果により再執筆した論考"Hagar and Some Related Matters-Tentative Gleanings from Aramaic Targums and Islamic Traditions"を、同会議のプロシーディングズに公表した。 (3)その中では、従来イスラーム側より早期に成立したユダヤ側伝承の内容が、細部を分析すれば、イスラーム時代のかなり初期と想定されるアラビア語資料に含まれている点、いくつかのモチーフがアラブとユダヤ双方で共有される点等を論証した。 2.研究実施計画から見た実績 (1)分析対象とする人物の特定においては、関係する先行研究文献の収集と分析を行った。特に、広範なユダヤ側文献より関係情報をまとめるが索引が欠如するL.Ginzberg (1909-36) : The Legends of the Jews. 6 vols.を対象に、研究補助によりキーワードの抽出(全体の4分の1)を行った。 (2)タルグームを核とするユダヤ古典文献の調査分析を、(1)の作業と並行して聖書中のHagarとIshmaelについて行った結果、上記1(3)の成果を得た。 (3)アラブ・パレスチナ側民話方言資料の調査分析は資料の収集のみに終わり、具体的分析にまで及べなかった。
|
Research Products
(1 results)