江戸文人画における女性ー江馬細香の漢詩と絵画を中心に

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 22651093
• Research Institution: Kyoto Sangyo University
• Principal Investigator: 宮川 康子 京都産業大学, 日本文化研究所, 教授 (60251154)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 入野 美香 京都産業大学, 文化学部, 教授 (10151698)
• Keywords: 漢詩 / 水墨画 / ジェンダー

Research Abstract

研究代表者宮川は、江馬細香の竹を描いた水墨画の漢詩の中から、翻刻されていないものを中心にその解読を行った。その上で描かれた絵との連関を考察した結果、細香の描く竹は擬人化されて彼女の家族や交流のあった人々への思いを託するものであったこと、また常に身近にあって語りかける友人でもあったことが明らかになった。さらに細香の詩集に『源氏物語』を題材とする詩があり、師頼山陽のすすめに従って源氏54帖のすべてを詩に詠む志を持っていたことから、この「源語詩」の考察を勧めた。今後は同じく「源語詩」を書いている男性詩人、菅茶山や尾藤二洲などの詩との比較を通じてその女性的特徴を明らかにしたい。また細香詩集の読解において、それまで女性詩人が題材としなかった社会観察に基づく詩、民衆教化の視点に立つ詩、また歴史を題材とした「詠史」などに着目し、今後はその内容を男性詩人や同時代の女性詩人と比較しつつ考察したい。
研究分担者入野は、大垣市教育委員会で得た情報を基に、岐阜県歴史資料館と岐阜市歴史博物館において下記の資料を調査、データ保存した。
岐阜県歴史資料館所蔵の書画
(多保五才画 竹二雀)(115.0×73.0・軸装・木箱入り)多保(江馬細香)1幅、(天保1.3)(細香詩稿「庚寅三月発家至京作」)(134.0×62.1・軸装・紙箱入り)(江馬細香)1軸、(天保8.9).(細香筆 楓)(178.9×43.8・軸装・紙箱入り)江馬細香1幅
岐阜市歴史博物館所蔵の資料
定本『岐阜県の日本画』河野元昭監修、郷土出版社(絶版)より、江馬細香:雪中生筍図、竹石・牡丹・山水図、墨竹図、花卉練習帳、養老瀑布図、山水図、四君子図巻、梁川紅蘭:竹菊に蝶図、米法山水図、黒梅図、春景山水図、谿山清渓図
ポジフィルム江馬細香:懸崖蘭竹図、瀑布図、墨竹図、梁川紅蘭:竹石に群蝶図、墨竹図、梅竹蘭図、山水図、「竹窓聴風」漢詩・墨竹図