2010 Fiscal Year Annual Research Report
子ども家庭の安全保障:暴力問題の複合性分析と社会政策
Project/Area Number |
22651094
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
高橋 睦子 吉備国際大学, 社会福祉学部, 教授 (50320437)
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Keywords | 子ども家庭 / 暴力 / インターセクショナリティ / 社会政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、暴力や虐待に対する「子ども家庭の安全保障」の確保のために有用な理論的枠組みの考察と実践における包括的支援のありかたを探求することである。子ども家庭での暴力問題の複合性を解明するためにインターセクショナリティ概念についての理論研究に取り組み、国内外の研究者や専門家たちとの共同研究を通じて、支援の実践における子ども家庭の暴力問題への包括的な対応体制、および暴力の世代間連鎖の克服のための戦略的な施策の選択肢について政策提言を提示する。 基礎理論の研究としてインターセクショナリティ概念についての研究文献の精査を4月から12月にかけて行った。これと並行して、5月にアメリカの子ども家庭の暴力問題への対応の現状について、協力者マージョリーD.フィールズ氏(元ニューヨーク州最高裁判所裁判長)を講師とする研究会を大阪弁護士会館で実施した(高橋が総括、協力者・長谷川京子氏(弁護士)が討論者)。子ども家庭の暴力問題についての越境的な課題として、「子どもの奪取に関するハーグ条約」への日本の加盟問題にも注目し、7月にミネソタ大学からソーシャルワーク研究所長ジェフリー・エドルソン教授と同大学院講師スッダ・シェティ弁護士を招聘し、東京大学のジェンダーCOEプログラムの協賛を得て、国際研究セミナーを実施した。エドルソン教授とは今後も引き続き「DV・虐待にさらされる子どもたち」に関する国際共同研究を展開する。また、11月には「Families at risk」をテーマとする国際シンポジウムを国立台湾大學の王麗容教授との共同作業によって、ハワイ大学のヴァリ・カヌハ博士やお茶の水女子大学の戒能民江副学長および申キョン准教授らの参加を得つつ、家族や移民をめぐる多様な暴力の越境性について理解を深めた。
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