2011 Fiscal Year Annual Research Report
子ども家庭の安全保障:暴力問題の複合性分析と社会政策
| Project/Area Number |
22651094
|
|---|
| Research Institution | Kibi International University |
|---|
Principal Investigator |
高橋 睦子 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (50320437)
|
|---|
| Keywords | 子ども家庭 / 暴力 / インターセクショナリティ / 社会政策 |
|---|
| Research Abstract |
本研究の目的は、暴力や虐待に対する「子ども家庭の安全保障」の確保のために有用な理論的枠組みの考察と実践における包括的支援のありかたを探求することである。本年度は、昨年(初年度)から引き続き、インターセクショナリティ、暴力と子ども家庭に関する研究文献の精査に取り組みつつ、研究協力者・長谷川京子氏(弁護士)らとともに小規模なワーキンググループ「監護権親権研究会」を通じた勉強会を6月からほぼ毎月一回の割合で実施した。この勉強会では、日本の近未来の子どもの監護についての法社会制度のあり方を、欧米諸国との比較考察を通じて検討する作業を積み重ねることができた。これと同時並行で、子ども(とくに乳幼児から小学生といった年少者)のメンタルヘルスについて、研究協力者・渡辺久子博士(慶應義塾大学医学部小児科医局長)から直接のヒアリングによる小児精神保健分野での最新の研究知見を得ることができた。また、研究協力者・相馬直子博士(横浜国立大学准教授)からは、韓国におけるひとり親世帯への社会的支援のありかたについての研究知見および韓国での研究者ネットワークについての研究情報を得ることができた。12月19日には、国立台湾大学での国際会議で研究報告(招聘後援)を行ない、12月26日には、同大学から王麗容教授(海外共同研究者)を招聘し、岡山県福祉相談センターとともに専門家セミナーを実施した。3月上旬には高橋がオックスフォード大学社会政策研究科において国際ワークショップの準備協議を行ない、英国、日本、台湾の研究者の協力を得て、H24年5月上旬に「Family at risk」国際会議を実施する運びとなった。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に計画していた研究者招聘については、海外共同研究者たちの多忙や健康上の理由から変更や延期を余儀なくされたが、理論面での研究分析は計画以上の進捗状況にあり、また、国立台湾大学の研究者と岡山県の家族福祉・児童擁護の現場の専門家たちとの交流を実現でき、社会貢献という意味でも十分な成果をあげ、さらに最終年度にむけて、オックスフォード大学側との研究交流の協議も順調に実施できた。したがって、おおむね順調に進展している。
|
| Strategy for Future Research Activity |
日本国内の実践者(法律実務や子ども・家族福祉関係)との連携の重要性を認識しつつ、最終年度では「子ども家庭の安全」に向けて近未来の社会・法制度のあり方を国際比較研究の視座から提示するよう最善を尽くしたい。
|
