2010 Fiscal Year Annual Research Report
空間と形に感応する媒体として身体を解明することから、知の成立機序を捉え直す試み
Project/Area Number |
22652003
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
栗原 隆 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30170088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尚武 鳥取環境大学, 大学院・環境情報学研究科, 教授 (10011305)
辻元 早苗 有明教育芸術短期大学, 教授 (20155378)
細田 あや子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00323949)
白井 述 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50554367)
青柳 かおる 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20422496)
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Keywords | 身体 / 感応 / 空間認知 / 感情 / 共感 / 運動知覚 / 奥行知覚 / 認識 |
Research Abstract |
本年度は、感応の機序を、即興舞踊の実践の事例を素材として検証することを通して、明らかにするとともに、その成果を、代表者が別途、科研費(基盤B)を受託して展開している共同研究、「空間における形の認知を介した『主体』の存立の基底に見る感覚の根源性についての研究」へと活用して、研究の有機的連関を図ろうとした。 加藤尚武は「デューラーとブリューゲルの空間描写の違い」を執筆、人間に特有の表現行為を育む空間認識と空間構成の重要性を、デューラーとブリューゲルの構図の違いに即して明らかにした。さらに、生命倫理や環境倫理、そして戦争の倫理の根底に「徳」を据える試みを展開した。 青柳かおるは、イスラム文化圏における生命感情について紹介を行なった。白井述は、赤ちゃんの認知における共感の出現を実験を通して具体的に調査した。細田あや子は、不可視の絶対的なものとの「交感」の可能性を絵画表現を通して具体的に検証した。辻元早苗は2010年9月29日に、日本建築学会とコラボレーションの上、「建築空間と身体」というパフォーマンスとシンポジウムを実施、身体の官能性と感応性とについて実証した。また12月25日には俳優座劇場で、WANDERINGなるパフォーマンスを主演、即興表現の成り立ちと可能性について自ら検証した。 栗原隆は、気分(Stimmung)概念を、「感応」と捉え返すことによって、従来、主観性の帳に曖昧にされていた哲学的人間学の新たな可能性が切り拓かれることを実証的に論及した。これにより、身体感覚を基に、知の可能性を探ろうとした所期の目的は、順調に達成されたと信じる。
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Research Products
(20 results)