2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22652005
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
瀧野 邦雄 和歌山大学, 経済学部, 教授 (10197238)
|
Keywords | 八股文 / 破題 / 起講 / 清朝 / 作成法 |
Research Abstract |
科学研究費を与えていただいて、私は 破題・承題・起講・入題・提股・出題・中股・後股・収股 の箇所に分類される、清代の八股文のうち、破題と起講を中心にどのようにして作成するのかについて研究を行なった。その結果、以下のようなことを明らかにすることができた。 〔破題〕破題の「破」とは即ち解体するとか分析するとの意味である。文章のまくらで、先ず題目の意味を明らかにするので「破題」という。八股文の破題は規定としてただ二句を用いるだけである。この破題の二句は主に題義を概括したり、題義を解釈したりする。この破題は、八股文作成においてきわめて重要な箇所であった。それはなぜかというと、次のように考えられる。つまり、科挙の試験場のなかで、答案の数は多く、採点官は少ない。問題文(題目)は同じであり、答案の形式・文体も一律である。採点の時間は短く、毎日一千ほどのものを見なければいけない。そこで、採点官は、破題をみて、その答案全体の水準を判断する。だから、採点官の注意力は自然と破題の部分に注がれる。受験生は破題の部分にまたたいへん苦心し、力の限り好い破題を良く作ろうとするからである。 〔起講〕起講は、小講ともいい、破題・承題に続く箇所である。八股文では起講の部分から、八股文の作成者が聖人に成り代わって議論を展開する箇所になる。そのため、以後の議論の展開を概説的に説明する。そのため、起講の回答法はきわめて複雑なものとなっている。そこで特に、起講の形式と回答方式とについて詳しく検討を行なった。 先ず、形式の面からは、起講が四つの部分から構成されることを明らかにした。また、回答方法の面では、起講において、問題文(題目)を様々に解釈して、数多くの回答方式が存在することも明らかにし、凡そ十二通りの解法に分類できることを明らかにした。
|