2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本画の作法-「技法書」と「模本」から探る近代日本画の精神
Project/Area Number |
22652010
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
染谷 香理 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 講師 (90572579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩俣 公介 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 講師 (90529950)
松村 公太 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 講師 (30538765)
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Keywords | 美術史 / 日本画 / 絵画技法 / 技法書 / 模写 |
Research Abstract |
前年度より行っていた東京美術学校旧資料館所蔵の摸本群については、概ね整理が完了した。これにより、東京美術学校で利用されていた摸本群の全容を知ることができ、より調査しやすい環境を整えることができた。 また、9月8日~9月13日に中国の敦煙研究院・敦煙石窟文化財保存研究陳列センターへ赴き、中国における模写事業・模写教育の実状を実際に摸写制作に携わっている方から聞き取り、調査を行った。これにより中国における摸写教育や摸写理念を知ることができ、日中における摸写制作の概念の違いを把握することができた。 技法書分析に関しては、引き続き収集を行った。また前年度までに収集した技法書の中から、特に著者の立場が明確なものや日本画に関する記述が多いものを選出し、分析を進めた。具体的には、それぞれの技法書から目次部分を抜き出し、成立年代や文献の記された背景、またそれぞれの技法書の特徴などをまとめた「技法書便覧」の作成を開始した。 また、これまで技法書は旧仮名遣いで記載されていたり、あて字の使用や言葉の誤用などが多かったり、なかなか目的の記述内容を探すことができないことが多かったが、より効率よく技法書の分析を行えるようにするために、データベース化を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摸本に関しては東京美術学校での摸写教育における摸本の実態や、中国における摸写方針などを把握することができた。また、技法書に関しては収集がほぼ完了し、分析についてはデーターベース化を開始することで全体像を把握しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
東京美術学校旧資料館所蔵の摸本群の整理及び調査は、本年度も引き続き行い、美術学校における摸写教育の変遷を探る。特に摸写の分野や摸写手法に区切って調査を行い、美術学校における摸写教育や摸写手法の変化に着目する。 技法書に関しては、引き続き技法書の目次部分・成立年代や文献の記された背景,それぞれの技法書の特徴などをまとめた「技法書便覧」の作成を行う。また、元禄期から明治までの技法書のテキスト化を行い、データーベース化を進める。また年度末にはこれらをまとめた報告書の作成を行う。
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