2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22652013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀田 真紀子 北海道大学, 大学院・サティア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90261346)
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Keywords | 芸術 / 草の根政治 / 公共的領域 / サンフランシスコ / 対抗文化 / ストリート・カルチャー / 環境運動 / コミュニティ・エンパワーメント |
Research Abstract |
サンフランシスコ(以下SFと略)の対抗文化コミュニティ(以下ACCと略)における芸術生産・受容力を調査するために、4月~2月まで、文献、インターネットで資料調査をし、関連組織、人物をリストアップ。中でもそのあらゆる活動と関連するChris Carlsson、及び彼が紹介してくれたACCの他のキーパーソンと現地調査前から電子メール交換を続け、SFのACCコミュニティの現状把握を深めた。最終的に7人2組織にインタビューや参与観察の予約を取ったうえで3月、現地調査に臨んだ。毎回2時間ほどにおよび、録画、録音も行ったインタビュー相手はCarlssonのほか、そのカーニヴァレスクな選挙キャンペーンがSFのACC成立め契機となった2003年の市長候補者Matt Gonzalez、この選挙戦の後、ACCの流れを受け継ぎ一体感をピークに高めた2010年のSFストリートカルチャーの復興運動、Sidewalks for People(決めた日時に、一斉に歩道でさまざまな文化イベントを街じゅうで行い、その様子をビデオに入れてグーグルマップを使ってウェブで公表する)の中心人物Andy Blue、公共スペースを大企業の広告から、人々のエンパワーメントのために取り戻すためのポスターやバナーをつくっているSF Print Collectiveの芸街家たちなど。それぞれのACC内での役回りは多岐に及ぶが、共通点として、公共領域Public Sphereの人々の手による再構築を目指していること、芸術的な表現衝動と関連づけることで、草の根政治運動を一種の「祝祭」として再定義しようとしていることが分かった。ACCにみられるこの芸術とアクティビズムの混成と。強い絆で結ばれながら多様性へと開かれたコミュニティのあり方は、SFの対抗文化の歴史の上にありながら、脱産業化、情報化、ネットワーク社会といった時代の変化の先鋭的な現象といえる。とはいえリアルタイム、ローカルな運動なので文献などまだ皆無。草分け的な研究になりそうである。帰国後、データー分析しながら、そこに私たちの社会が向かうべき方向や、時代に即し、人々の切実な政治的参加衝動に根差した芸術・文化振興のあり方を読み取っていった。
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