2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22652031
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
酒井 三喜 白百合女子大学, 文学部, 教授 (70205714)
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Keywords | 仏文学 / 仏語 / 芸術諸学 / 演劇 |
Research Abstract |
1フランス古典喜劇マリヴォー『恋のサプライズ2』第1幕の現代日本語翻訳をインターネット上に掲載。間もなく第2幕翻訳を終了、掲載予定。2古典劇の現代語翻訳のメソッドに関する講義を、大学院の授業で行った。3これまで翻訳した台本をベースに、大学の授業においてリーディング形式のワークショップを行った。2012年度には、学生によるリーディング公演の実現を目指している。4高校生対象のワークショップを2度行い、青少年対象の古典劇ワークショップの可能性と問題点を探った。5演出家、脚本家、俳優など多様な演劇人とともに「マリヴォー研究会」を5度にわたって開催した。これは、リーディングやディスカッションを通じて古典喜劇をその実践につなげようとする活動。今回は『恋のサプライズ2』第1幕を用いた。6フランス国立図書館所蔵の古典劇映像資料を通して、現代における古典劇の演出等に関する調査研究を行った。とりわけ、アントワーヌ・ヴィテーズ(演出家)によるマリヴォー劇『愛の勝利』(イタリア語上演)を見ることができたのは、今後の日本におけるマリヴォー劇上演を考える上で大きな成果であった。7パリにおける演劇実践の現状を調査した。チェーホフ、イプセン、ゴルドーニなどの翻訳上演や、またドイツ、パレスティナなど外国人劇団による字幕付き外国語上演を見ることで、いわゆるエンターテインメントではない演劇がどのようにして広く観客に受け入れられるかについて調査研究ができた。また、オペラの字幕付き上演が、現代演劇(演出)の優れた創造の場になっている現状を調査分析することができた。8ヨーロッパの演劇・演出の実践について、インターネット上で紹介(ブログ)。演劇のグローバルな視野を提供した。9大学・高校の授業への古典劇ワークショップの導入方法などを「演劇を体験する--マリヴォー喜劇『恋のサプライズ2』に触れてみる」としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の科研費申請書に研究実施計画として記載したもののうち、「これまで翻訳した台本を印刷物の形にする」ことと、『恋のサプライズ2』の翻訳を完成すること、については実現できていないが、それ以外については順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には平成23年度よりの継続プログラムによって研究は推進される。したがって、おおむね順調に進展していくものと予想される。 「11.現在までの達成度」の「理由欄」にいくつかの「遅れ」を挙げたが、そのうち、『恋のサプライズ2』翻訳については、ワークショップによる実践を通して、翻訳を修正しつつその形をつくりあげていくという方向性であるため、この遅れはむしろ「ポジティブな遅れ」と考えられる。実践を通して方法論を確立することで、翻訳のスピードも上がると考えられる。 印刷物の形にすることについては、経済的要因に依存しているため研究実施計画通りに推進することは簡単ではないが、小劇場等で販売している台本制作についてリサーチし、実現可能な方策を探る。 古典劇のレパートリー化プロジェクトの実現に不可欠なもののひとつが人的資源であると考えられる。インターネットや印刷物、ワークショップなどさまざまなメディア・活動を通じて、この「プロジェクト」に共感してくれる人々を獲得する。
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Research Products
(3 results)