2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポップカルチャーが日本語教育に及ぼす影響およびその普及のための教材研究
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22652051
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
鈴木 洋子 武蔵野大学, 文学部, 教授 (90303362)
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Keywords | ポップカルチャー / 日本語教育 / アニメ / 漫画 / 学習動機 |
Research Abstract |
日本のポップカルチャーがどのように普及しているのか、そしてその影響が日本語学習者にどの程度、どのように影響を与えているのかの実態を把握するために、アンケート調査および聴き取り調査を日本語学習者の多い中国、韓国、台湾、タイ、ベトナム、シンガポールおよびアメリカ合衆国で実施した。日本のアニメや漫画やゲームが日本語学習を始めた動機としている学習者はどの国にも存在している。しかし日本のポップカルチャーの普及の程度はもちろん、なぜ普及したのかに関しても、国や地域によりズレがあることが判明した。アメリカやシンガポールなどGDPが高い国では自国の文化とは異なることが描かれているからという点が大きな要因になるが、他の東南アジア諸国では日本に対する憧れ的な感覚、意識で日本のポップカルチャーに惹かれるということが大きい。後者にはそのような日本文化に触れる機会があるのはまだ限られた層であるという根本的な違いも少なからず影響している。しかしながらインターネットが浸透していけば自ずから日本のポップカルチャーに触れる層が厚くなり、したがってそれらに興味を持つ若者が日本語学習者になる可能性は高いと考えられる。 日本に留学中の学習者に関しては調査中であるが、ポップカルチャーに対する興味から日本留学を決心したという留学生は多い。留学生の年齢ともなると、以前はポップカルチャーに興味があっても今はなくなったという学習者もいるが、30歳近くの大学院留学生でも、来日してますます興味をもったという人もいる。これはアニメにしても漫画にしても、年齢が高くなっても楽しめる内容が深いものがあるということの証左でもある。また内容もさることながら日本の漫画やアニメの製作技術が高いレベルであるということも世界で多様な人に受け入れられる要因である。多くの人が日本のポップカルチャーに興味をもてば日本語に興味を持つ学習者も増えるであろうが、彼らが日本語学習を継続するように、教材、教授法の開発をすることが必須である。
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Research Products
(2 results)