2011 Fiscal Year Annual Research Report
母語に活かす英語ライティング指導ーマルチコンピテンス理論の検証をめざしてー
Project/Area Number |
22652054
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大井 恭子 千葉大学, 教育学部, 教授 (70176816)
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Keywords | マルチコンピテンス / ライティング / 母語 / 英語 |
Research Abstract |
本研究では、Cook(2001)の唱えるマルチコンピテンス理論の日本の英語教育現場での検証を目的とするものである。Cook(2001)は外国語習得においては、外国語の能力を伸ばすことばかりに焦点を当てるのではなく、外国語を学ぶことにより、母語の力も延ばすことができる、すなわちマルチコンピテンス(multi-competence)となりうると説く。本研究では、英文ライティングを学ぶことにより、日本人の学習者が、英文が本質的に内包している「論理的文章構成」を体得し、そして、英文ライティングで培った論理的思考力や表現力がマルチコンピテンスとして学習者の能力の一部となり、それが必要に応じて母語、すなわち日本語での作文やプレゼンテーション力へも転移が可能であるという仮説の実証を試みるものである。 昨年度は理論的研究をするとともにCook自身とこの研究につき、じかに話し合う機会を2回得ることができた。また、実証研究として、中学生に英語のパラグラフ・ライティングを指導し、その成果を英語のライティングの成果で見るだけでなく、英語の作文指導の前後で日本語作文にどのような変容が現れるか分析した。その結果、中学生は英語のパラグラフ・ライティングを会得しただけでなく、日本語の作文においてもより論理的で説得力のある文章が書けるようになった。この結果は論文として発表した。 大学生に関しても、essay writing,ことにargumentative wrtingにフォーカスして2学期間指導し、Toulmin Modelの用語を使って分析したところ、英語の作文においても、また日本語の作文においても、論理が整い、より説得力のある文章が書けるようになった。このことは、国際学会で発表し、今論文にまとめているところである。これらの結果から、英語のライティング指導により、論理的文章構成に関して、学習者の中にマルチコンピテンスが創出されたと結論づけることができると考える。
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Research Products
(8 results)