2011 Fiscal Year Annual Research Report
在日イスラーム少数派移民のグローバルネットワークに関する基礎的研究
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22652080
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
渋谷 努 中京大学, 国際教養学部, 教授 (30312523)
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Keywords | イスラーム / グローバリゼーション / 移住 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度から引き続き、日本に住むイスマーイーリー派の基本的なデータを収集した。さらに本年度から彼らの友人のネットワークについて聞き取りの調査を行った。イスマーイーリー派以外の同国出身者やムスリムとの関係や、その他の外国出身者、そして日本人との関係について、就職先、居住先の斡旋や金銭、法律上の問題に直面したときの対処の仕方、さらには日々の電話などでの情報交換の状態について聞き取り調査を行った。 そこから、彼らの日本での生活を維持するためには、親族や同地域出身者といった出身国で形成していたネットワークが、居住地の確保、職業の斡旋など社会・経済的に重要な役割を果たしていることがわかった。それに対して、インドやパキスタンといった出身国に基づく関係はほとんど機能していなかった。また、日本の中での他派のイスラーム教徒との関係もそれほど活性化していなかった。それに対してホスト社会である日本人との社会的・経済的支援、さらに日々の関係が重要であることが明らかとなった。 また、今年度はパリ及びその近郊に住むイスマーイーリー派の人数、出身地、居住地、性別、職種、在仏年数といった基本的な情報に関して、インタビューを用いて聞き取り調査を行った。 フランスでの調査からも、日本の場合と同様に親族や同地域出身者といった出身国で形成していたネットワークが重要であることがわかった。さらに、昨年度行ったイギリスでの調査結果と照らし合わせることで、ヨーロッパの中での仕事の紹介などが国境を越えて行われていることが確認でき、マイノリティの生存戦略としてのグローバルネットワークの一部を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、パキスタンでの現地調査を予定していたが、現地の政情不安のために渡航できなかった。しかし、フランスでの調査を行うことで、グローバルネットワークに関する調査をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本国内での調査を継続するとともに、政情が安定した場合にはパキスタンで現地調査を行う。さらに、カナダでの調査も行い、同派のグローバルネットワークの現状に関する基礎的なデータを収集する。
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