2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653006
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
植松 真生 香川大学, 法学部, 准教授 (00294744)
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Keywords | 国際私法 / イスラム法 / イスラム家族法 / 国際家族法 |
Research Abstract |
イスラム家族法の内容を一定の事項について、まずとくにマレーシアについて確認した。そして、マレーシアにて、当地におけるイスラム家族法の解釈・運用がどのように行われているのか、クアラルンプール地域において調査した。マレーシア(クアラルンプール地域)における、イスラム家族法の適用範囲は必ずしも明確でないように思われ、当地においても争いがあるように観察される。イスラム家族法の解釈・適用の権限はシャリア裁判所にあると考えられ、それが外部にはわからないことが、イスラム家族法の日本における適用が不可能ではないかという考える一つの理由と当初は考えていた。しかし、少なくともマレーシアにおいては、シャリア裁判所の判例がそれなりに公表されており、そのリソースが判明した。とはいえ、理論的に、日本の世俗裁判所がイスラム家族法を適用することに対する問題については、なお検討が必要である。マレーシアのイスラム家族法の専門家とのインタビューにおいては、この点についての賛否は分かれた。他の国のシャリア裁判所の判例が公表されているのかどうか、も引き続き調査する必要がある。 ドイツおよびスイスにおいて、イスラム家族法の適用に関する問題についても実態調査を行った。基本的に、日本におけるのと同様に、イスラム家族法が準拠法となる場合には、それを適用することが前提となっている。もっとも、イスラム家族法の適用がいわゆる公序に反するとして、結果的には適用されないことが判例においてはしばしば行われているように見える。この点について、とくに当地の国際私法および家族法の専門家と議論を行った。私の問題意識はそれなりに理解してもらえたとは思う反面、明文の規定においてイスラム家族法の適用が命じられている以上、それを適用するほかないのではないか、という意見が強かった。
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