2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90254375)
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Keywords | 政権移行 / 比較政治 / 韓国 / アメリカ / 行政学 / 選挙サイクル / 制度記憶 / 選挙 |
Research Abstract |
本研究の目的は、政権移行時における新旧政権間における政策の連続性と変化が何によってもたらせるかを、政権移行に参加する、旧政権、新大統領、新与党政治家、官僚などのアクターに注目して明らかにすることである。そのために調査、分析する対象は、政権交代の効果が明示しやすい大統領制をとり、かつ政権移行委員会を設置して移行手続きを行なっているアメリカと韓国である。 このために、平成22年度は、第1に、韓国・アメリカにおける政権移行に関する先行研究および資料の整理をした。アメリカについては移行に関する整理や、個別の政権移行に関する論文があるので、これらを分析し、他方、韓国については政権移行に関する政府の報告書が作成されているのでそれらを入手し整理した。 第2に、韓国の政権移行のプロセスシーキングをおこなった。順序は、(1)盧武鉉政権から李明博政権への移行過程、(2)金大中政権から盧武鉉政権への移行過程、(3)盧泰愚政権から金泳三政権への移行過程、である。 以上の作業で分かったことは以下の2点である。第1に、同じく大統領制を採用していても、政権移行のパフォーマンスは米韓で大きく異なる。その差異には官僚制のあり方が関係している。猟官制をとり交代時に官僚が入れ替わるアメリカとそうではない韓国とでは、政権運営に関する「制度記憶」の継承に大きな違いが生じる。第2に、政権移行委員会の存在が円滑な移行を阻害しうる。移行委員会は本来円滑な移行を目的とするが、委員会のメンバーの選好を考慮すると逆の結果が招来しうる。
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