2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90254375)
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Keywords | 政権移行 / 比較政治 / 韓国 / アメリカ / 行政学 / 選挙サイクル / 制度記憶 / 選挙 |
Research Abstract |
本研究の目的は、政権移行時における新旧政権間における政策の連続性と変化が何によってもたらせるかを、政権移行に参加する、旧政権、新大統領、新与党政治家、官僚などのアクターに注目して明らかにすることである。そのために調査、分析する対象は、政権交代の効果が明示しやすい大統領制をとり、かつ政権移行委員会を設置して移行手続きを行なっているアメリカと韓国である。2009年9月の日本における鳩山政権誕生時に明らかになったように、日本において政権移行に関する研究はほとんどなく、知見の蓄積もない。先行し、しかも日本以外では研究のある米韓の事例を研究することで、政権移行時に生じる国政運営の連続性と変化の関係を理論的に説明するモデルを提示する。 平成23年度は、平成22年度に調査対象としなかった政権移行およびアメリカとの比較、理論的な整理・分析をおこなう。第1に、前年に引き続き韓国における政権移行を調査した。金大中政権から盧武鉉政権、盧武鉉政権から李明博政権への移行に関する調査は前年度でほぼ終了したので、具体的には、(1)全斗煥政権から盧泰愚政権への移行、(2)金泳三政権から金大中政権への移行である。大統領選挙と国会議員選挙の間の選挙サイクルのずれを重視する本研究の理論的含意から引き出されるように、前者については同程度のずれが見られる盧武鉉政権から李明博政権への移行と、後者については、盧泰愚政権から金泳三政権への移行との類似性が見られた。すなわち、選挙サイクルのずれが政権交代のあり方、政治家と官僚の協力のあり方に大きな影響を与えていることが明らかになった。第2に、これまでに調査した内容を、アメリカの政権移行と比較した。アメリカで対象としたのは、クリントン政権からブッシュ調査への移行と、ブッシュ政権からオバマ政権への移行である。
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